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ビックカメラ有楽町店のテレビ売り場で新元号の決定を知らせるニュースを見る人たち=2019年4月1日午前11時44分、東京都千代田区、伊藤進之介撮影

 若者たちが行き交う東京・渋谷のスクランブル交差点。大型ビジョンに新元号が映し出される瞬間を撮影しようと、スマホを掲げて待つ人たちであふれた。

 東京都八王子市の首都大学東京2年の畑野智哉さん(19)は、元号発表の瞬間をみんなと分かち合おうと、高校の同級生2人と午前10時半前から待っていた。

 発表の瞬間は新元号はビジョンに映し出されず、スマホで確認した。「平和の意味があっていいと思います。これから東京五輪・パラリンピックや大阪万博があるので、世界との和を重んじていける時代になってほしい」

 渋谷駅前を歩いていた東京都大田区の会社員、高田優さん(29)は買い物に向かう途中、スマートフォンのニュースで新元号を知った。「堅すぎますね。意味が分かりづらい。もっと親しみが持てる元号のほうがよかった」。平成元年生まれで、「自分が生まれた平成が終わってしまうのは寂しいですね。あっという間のように感じます」と話した。

 東京・有楽町のビックカメラでは、約30台の大型テレビの前に100人ほどが釘付け。出勤前に立ち寄った東京都小平市の会社員、木原愛美さん(24)は「『令』にどんな意味があるのか知りたい。『和』は、これからの日本が一つにまとまるという意味がありそうですてきだと思う」と話した。

 東京・皇居前。ラジオで新元号を知った横浜市の小菅賢三さん(81)は「平和で安全な時代が続いてほしいと思っていたので、『和』の字が入っていてよかった。いじめや災害のない、明るい時代になってほしい」と話した。

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 靴クリームメーカー「コロンブス」(本社・東京都台東区)では、恒例の「靴みがき入社式」があった。

 新入社員は3人。入社式での靴磨きは1971年に始まった伝統行事で、今回は代替わりにちなみ、平成元年入社のベテラン社員が、平成最後の新入社員に磨き方を指導した。

 新人の松尾茜音(あかね)さん(22)は新元号について「落ち着いた印象を受ける。言いやすいし書きやすいので、すぐになじめそうだ」。指導した山田篤さん(48)は「次の時代が、彼らにとって働きやすく平穏な時代になってくれれば」と話した。

 テレビ各局は、首相官邸の様子などを逐一放送した。発表までの残り時間をカウントダウンする局もあった。ツイッター上では4月1日の「エープリルフール」にちなみ、新元号に関する「うそのつぶやき」も。平成発表時の写真と「継続」「文鳥」「筋肉」などの2文字の漢字を合成した画像の投稿などが注目を集めた。

「ええー」どよめき、大阪でも

 「令和」。午前11時40分すぎ、菅義偉官房長官新元号を掲げて発表するテレビ映像が流れると、大阪・ミナミの道頓堀の大型ビジョン前に押し寄せていた人だかりから、「ええー」とどよめきが起きた。

 大阪府東大阪市の大学3年、西川侃杏(かんな)さん(20)は新元号に驚いた表情を見せた。「令という字は予想ランキングにもなく、昭和の『和』という字が使われるとは思っていなかった。字や響きが落ち着いた感じですね」と話した。奈良県生駒市の中学3年生、淡路晴斗さん(14)は「令和の和に、和むという意味を込めたのかな。みんな仲良くというイメージを大事にしていきたい」と話した。

 堺市の大学院生の宮下響さん(22)は大阪府河内長野市の上田菜々夏さん(20)と来た。上田さんは「令ってどういう意味か想像がつかない」。宮下さんは「画数が少なくて書きやすそう」と話していた。

 JR大阪駅近くの大型モニター前では、数十人が新元号の発表を待ち構えた。新元号が「令和」と発表されると、聞き間違えて「へいわ? へいわ?」と驚いた様子の声が上がった。

 長男(11)を連れた大阪府豊中市の主婦、上原美揮子(みきこ)さん(43)は「ちょっと予想していなかった感じ。天災が少ない、明るい時代になってほしい」と話した。豊中市の会社員、平野真子さん(26)は「平成が終わってしまう。寂しい感じとともに、期待感があります。どんな時代になるんだろう」。一緒にいた仕事仲間の大阪府交野市、北村彩奈さん(26)は平野さんに「『令和』の間に結婚しようね」と語りかけた。

 大阪・梅田の飲食店では早くも新元号にあやかったメニューが登場した。

 大阪市北区のルクア大阪にあるレストラン「メルカ」では、「令和」の文字をかたどったチーズをのせたピザの販売を始めた。発表前の午前11時20分ごろから焼き始め、発表と同時にチーズを「令和」の文字にくりぬいて完成させた。注文した大津市の高校生、山下菜帆(なほ)さん(16)は「昭和の『和』はないと思っていたので驚いた。響きはかっこいい」と話した。