[ニューヨーク 9日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場で円が上昇した。トランプ米大統領が110億ドルの欧州連合(EU)製品への関税導入を表明したことや、国際通貨基金(IMF)が世界経済成長見通しを引き下げたことがセンチメントの重しとなり、安全資産とされる円が買われた。
終盤の取引で円は対ドルJPY=EBSで0.34%高の111.12円、対ユーロEURJPY=EBSで0.3%上昇した。
米通商代表部(USTR)は前日、EUによる航空機大手エアバス(AIR.PA)への補助金に対する報復措置として関税を課すEU製品の暫定リストを公表した。大型商用機やその部品のほか、乳製品やワインを盛り込んだ。
IMFは9日発表した世界経済見通しで、2019年の成長見通しを3.3%とし、1月時点の見通しから0.2%ポイント引き下げた。予想通りなら成長率は16年以来の低い伸びにとどまる。ユーロ圏の19年成長見通しは1.3%で、1月の1.6%から低下。米国の経済見通しも従来の2.5%から2.3%に引き下げた。それでも、ユーロは対ドルで堅調、直近で0.05%高の1.12655ドル。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズ(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「株式相場の下落がリスク選好意欲の重しとなる中、円は現時点で勝者だ」と話す。ユーロ相場は多くのマイナス材料をすでに織り込んでおり、この日の諸展開で弱い見方が大きく高まることはなかったと指摘した。
原油など商品相場の勢いが後退して、新興国通貨やカナダドル、豪ドルの上げ幅が縮小した。 ノルウェーNOK=やロシアRUB=、メキシコMXN=D2などの産油国通貨は上げ渋った。
豪ドルが対米ドルAUD=D4で一時約3週間ぶりの高値を付けたが、その後はおおむね小動きの0.71255ドル。カナダドルCAD=D4も3月21日以来の高値を記録する場面があったが、直近で小動きの1.3323カナダドル。
英ポンドは対ドルGBP=D3で0.14%安の1.3045ドル。ドイツ政府の報道官が、英EU離脱の懸案であるアイルランド国境を巡る安全策について、メルケル首相に5年の期限を設定する用意があると伝えた一部報道を「根拠がない」と否定した。
ドル/円
NY終値 111.12/111.16
始値 111.28
高値 111.38
安値 110.99
ユーロ/ドル
NY終値 1.1261/1.1266
始値 1.1276
高値 1.1285
安値 1.1262