[ワシントン 17日 ロイター] – 米商務省が17日発表した2月の貿易赤字は前月比3.4%減の493億8200万ドルと、2018年6月以来の低水準となった。市場予想は535億ドルだった。中国からの輸入が急減し、赤字が縮小した。トランプ大統領の「米国第一主義」政策が成果を出し始めていることを示唆した。 

対中貿易赤字は28.2%減の247億6100万ドルだった。中国からの輸入が20.2%減少し、中国への輸出が18.2%増えた。 

貿易赤字は縮小したものの、依然として高止まりしている。また、中国からの輸入の減少は一時的である可能性がある。貿易収支の統計はここ数カ月、乱高下している。米国が中国を含む貿易相手国と衝突しているため輸出入が不安定なためだ。 

2月はモノの貿易赤字が1.7%減の720億1100万ドルと、18年6月以来の低水準となった。 

実質の貿易赤字を示すインフレ調整後のモノの貿易赤字は2月に17億6400万ドル減の817億5700万ドルだった。1月と2月の平均は、18年第4・四半期の平均を下回っている。貿易が第1・四半期国内総生産(GDP)の押し上げ要因となり得ることを示唆する。前期は押し上げ方向にも押し下げ方向にも働かなかった。 

第1・四半期GDPの予想値は年率1.5─2.3%増。国内需要が鈍化する中で在庫が積み上がっていることを反映している。18年第4・四半期のGDPは年率で2.2%増と、第3・四半期の3.4%増から鈍化した。 

2月の輸出は1.1%増の2096億9000万ドル。サービスの輸出は金額ベースで過去最高となった。モノの輸出は1.5%増の1395億4800万ドルだった。モノの輸出が増えたことは最近鈍化の兆しが見られる世界経済にとって明るい材料と言える。 

輸出の内訳は、自動車・同部品が5億8500万ドル増。民間航空機は21億8600万ドル急増した。ただ米航空機大手ボーイング(BA.N)が問題となっている「737MAX」の出荷を止めたことで向こう数カ月間は民間航空機の輸出が減るとみられる。 

大豆輸出は小幅に増えた。 

輸入は0.2%増の2590億7300万ドルだった。消費財は15億6700万ドル増えた。携帯電話・その他の家庭用品が20億8800万ドル増え、全体を押し上げた。資本財は小幅に増えた。 

産業用資材と原料は11億8100万ドル減少した。原油の輸入量は前月の2億2310万ドルから1億7370万バレルに減少し、1992年3月以来の低水準となった。米国内の生産が増えていることから、輸入に頼らなくなっている。輸入原油の平均価格は2月に1バレル=46.89ドルと、1月の42.59ドルから値上がりした。 

キャピタル・エコノミクス(ニューヨーク)のシニア米国エコノミスト、マイケル・ピアース氏は「貿易は年内に経済成長の抑制要因方向に転じる公算が大きい」とし、「国外で経済成長が抑制された状態が続き、これまでのドル高の影響も継続する中、輸出の伸びは鈍化すると予想している」と述べた。