[ニューヨーク 3日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、セントルイス地区連銀のブラード総裁が米利下げは「近く正当化」される可能性があると述べたことを受け、ドルが下落した。
ブラード総裁は、米国と主要貿易相手国との間の目まぐるしく変化する通商問題のすべてに連邦準備理事会(FRB)が対処することはできないとしながらも、このほどトランプ政権が発表した対メキシコ関税措置などは、世界経済が減速する中で「米経済のマクロ経済的なパフォーマンスに影響を及ぼしかねない不確実性が高まる環境」を作り出したと指摘。低迷するインフレ、および米債券市場が発している警告を踏まえると、「政策金利の下向きの調整が近く正当化される可能性がある」と述べた。
このほか、この日発表の米経済指標では、米供給管理協会(ISM)の5月の製造業景気指数が52.1と、前月の52.8から低下し、2016年10月以来の低水準を付けた。
貿易を巡る緊張の高まりを背景に米株などの高リスク資産から円やスイスフランなどの安全資産に資金がシフトしており、主要通貨に対するドル指数.DXYは0.63%安の97.131となった。ただ年初からはまだ約1%高い水準にある。
トランプ米大統領は5月30日、メキシコ国境からの不法移民流入に同国が十分に対応していないとし、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課し、移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げると表明。 TD証券の世界外為戦略部門責任者、マーク・マコーミック氏は「(トランプ氏の)先のメキシコに対する警告を巡る問題は解決できるとみている」としながらも、「世界貿易を巡る情勢は今月の20カ国・地域(G20)会議まで厳しい状態が続く」と述べた。
円は対ドルJPY=で107.88円と、1月10日以来の高値を付けた。 スイスフランCHF=にも買いが入り、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がこれまで市場介入に踏み切っていた水準に迫った。対ユーロEURCHF=では約0.5%高の1.112フランと、17年7月以来の水準を付けた。対ドルでは0.99%高の0.991フランと、3月27日以来の高値を付けた。
クレディ・アグリコル(ロンドン)の外為ストラテジスト、マニュエル・オリベリ氏は「スイスフランはここ数週間、大幅に上げているが、こうした上げの大部分はリスク選好度の低下を反映したものだった」と指摘。このため「スイス中銀が介入に踏み切るには 一段の上昇が必要とみている」と述べた。スイス中銀はこれまで、フランが対ユーロで1.10フラン近辺に上昇した際に市場介入を行ってきた。
ドル/円
NY終値 108.06/108.09
始値 108.28
高値 108.44
安値 107.89
ユーロ/ドル
NY終値 1.1240/1.1242
始値 1.1182
高値 1.1262
安値 1.1179