[シカゴ 3日 ロイター] – 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は3日、世界的な貿易を巡る緊張の高まりによる世界経済に対するリスク、および低調な米インフレを踏まえると、米利下げは「近く正当化」される可能性があるとの考えを示した。 

ブラード総裁は、米国と主要貿易相手国との間の目まぐるしく変化する通商問題のすべてに連邦準備理事会(FRB)が対処することはできないとしながらも、このほどトランプ政権が発表した対メキシコ関税措置などは、世界経済が減速する中で「米経済のマクロ経済的なパフォーマンスに影響を及ぼしかねない不確実性が高まる環境」を作り出したと述べた。 

その上で、FRBは「将来的に成長が減速すると予想される経済に直面している」とし、「世界的な貿易態勢を巡る不確実性により、こうした減速は予想よりも急激なものになるリスクがある」と指摘。 

「インフレとインフレ見通しの双方は目標を下回っており、米国債の利回り曲線は現在の政策金利が不適切に高く設定されている可能性があるとのシグナルを発している」とし、低迷するインフレ、および米債券市場が発している警告を踏まえると、「政策金利の下向きの調整が近く正当化される可能性がある」と述べた。 

その上で「政策金利の下向き方向での調整はインフレとインフレ期待を2%の目標に近づける」ことの一助になるとともに、予想よりも急激な景気減速に対する「保険」になる可能性があると述べた。 

ブラード総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っている。 ブラード総裁の発言を受け、米国債利回りは一段と低下した。