【北京時事】中国の習近平政権は、民主化運動が武力弾圧された天安門事件から30年の節目となった4日、厳重な警備態勢で追悼や体制批判につながる動きを抑え込んだ。共産党政権は、事件後に経済発展をもたらしたと主張して多数の人命を奪った弾圧を正当化している。だが、米国のトランプ政権は貿易だけでなく、人権問題でも対中圧力を強化。習政権の展望には不透明感が漂っている。
4日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報社説は、天安門事件について直接の言及を避けつつ、「30年前、中国社会は痛みを伴う予防接種を受け、発展過程で出現する重大な政治的過ちに対する免疫力を付けた」と訴えた。「政治の安定と絶え間ない発展の実現」を達成したと強調し、弾圧や言論統制を正当化した。
共産党政権は「貧困の撲滅こそが最大の人権状況の改善」と強弁し、天安門事件の真相究明や少数民族などに対する人権じゅうりんの中止を求める内外の声に反発してきた。厳しい情報統制の下、多くの国民が経済発展を求め共産党を支持してきた面も否めない。
しかし、習近平国家主席が「国民の支持」に不安を抱いていることは、最近の北京市内の状況からうかがえる。4日が近づくにつれ、天安門広場をはじめとする要所の警備が例年以上に厳しくなったのは、習氏が「民主化運動の再来を恐れている」(党員)ことを物語る。習氏は国家主席の任期制限を撤廃し盤石の体制を築いたかに見えたが、米国との貿易戦争をきっかけに「習氏の指導力に対する懸念が拡散している」(北京の知識人)と指摘されている。
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