米国の基調的な生産者物価指数は5月、前年同月比の伸びがこの1年余りで最も低くなった。労働省が11日発表した。インフレ圧力が依然として抑制されていることが示唆され、米金融当局に対する利下げ要求が強まる可能性がある。

キーポイント
・5月の食品とエネルギーを除くコア生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.3%上昇
 ・2018年1月以来の低い伸び
 ・市場予想には一致
 ・4月は2.4%上昇
・5月の全体のPPIは前年同月比1.8%上昇
 ・市場予想(2.0%上昇)に届かず
 ・4月は2.2%上昇
Gauge of underlying U.S. producer prices rose at slowest pace in a year

インサイト

  • 景気減速の兆しが見られる中、物価上昇率の鈍化は米金融当局に借り入れコスト引き下げのさらなる余地を与える。インフレ指標としては消費者物価指数(CPI)の方がより重要だと考えられているが、専門家は物価上昇圧力が消費者にどのように伝わるかを判断するためにPPIを注視している
  • 失業率が49年ぶりの低水準を維持し、多額の輸入品に関税を賦課しているにもかかわらず、米経済全般のインフレはなお比較的抑制されている

詳細

  • 5月の食品とエネルギー、取引サービスを除くPPIは前月比0.4%上昇と、市場予想(0.2%上昇)を上回った。変動の大きい要素を取り除いていることから、一部のエコノミストはこの指標を重視している。前年同月比では2.3%上昇。4月は2.2%上昇だった
  • 5月の全体的なPPIは前月比では0.1%上昇で、市場予想と一致した。4月は0.2%上昇だった。食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比では0.2%上昇で、同じく予想通り。4月は0.1%上昇
  • ガソリン価格が下落する中、財のコストは5月に0.2%低下。4月は0.3%上昇。サービス価格は0.3%上昇。客室レンタル費が過去最高の10.1%上昇したことが、主な要因だった。4月は0.1%上昇
  • エネルギー価格は前月比1%低下と、1月以降初のマイナス。食品価格は0.3%低下

原題:Underlying U.S. Producer Prices Rise at Slowest Pace in Year (1)(抜粋)U.S. May PPI for Final Demand Rose 0.1% vs Est. Up 0.1%(抜粋)