ホルムズ海峡付近で攻撃を受けたタンカーに接近するボート。米中央軍は、イランの精鋭部隊・革命防衛隊の巡視艇が13日、日本のタンカーに接近し不発機雷を除去したと発表した=米中央軍提供の動画より(AFP時事)

 【ワシントン時事】日本などのタンカー2隻がホルムズ海峡近くで攻撃された問題で、トランプ米政権は、イランの責任追及を国際社会に求めていく方針だ。米国が離脱したイラン核合意の維持を目指す欧州諸国などは、これまで圧力強化に及び腰だったが、トランプ政権はタンカー攻撃を奇貨として「最大限の圧力」による国際包囲網を強化したい考えとみられる。

 トランプ大統領は14日、FOXニュースでのインタビューで、タンカー攻撃は「イランがやった」と非難。米軍が前日公開した精鋭部隊、革命防衛隊のものとされる巡視艇がタンカーに接舷する動画が証拠だと主張した。その一方で「イランが交渉の席に戻りたいなら、われわれもそうしたい」と語った。軍事衝突でなく、圧力強化でイランに対話を受け入れさせたい考えもにじませた。

 トランプ氏のこうした姿勢を踏まえ、シャナハン国防長官代行は記者団に「国防総省の役割の一つは、外交に向けた条件を整えることだ」と強調。自分やボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ポンペオ国務長官が焦点を当てているのは「(イラン問題で)国際的な合意を構築すること」だと語った。

 核合意維持をめぐり米国と意見を異にしてきた英国が既に、タンカー攻撃について「ほぼ確実に責任はイランにある」(ハント外相)と米国に同調した。トランプ政権は、他の欧州諸国にも同様の支持を求めるとみられる。

 一方、グテレス国連事務総長は、タンカー攻撃の調査は「独立した団体が事実関係を検証するしかないのは明白だ」と述べ、「イランの責任」とする米国の主張受け入れには慎重な構えを示した。さらに中国やロシアはイランを擁護する可能性が高く、米国の望む対イラン国際包囲網が形成されるかは不透明だ