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G20に出席するため来日した中国の習近平国家主席=2019年6月27日午後1時24分、大阪府の関西空港、小杉豊和撮影

 安倍晋三首相は27日夜、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場となる大阪市で中国の習近平(シーチンピン)国家主席と会談した。日本政府によると、日中関係を「永遠の隣国」と位置づけて互いの重要性を確認。改善基調にある両国関係をさらに強化したい考えで、習氏が来春に国賓として再訪日することで一致した。

 会談は約1時間行われた。冒頭、首相は「来年の桜の咲く頃、習氏を国賓として日本にお迎えしたい」と述べ、習氏は「いいアイデア」と応じた。習氏の訪日は2013年の国家主席就任後、初めて。主席の訪日は、10年に横浜で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席した胡錦濤(フーチンタオ)氏以来となった。

 今回はG20にあわせた訪日だが、首相は会談後に夕食会を開催し、中国重視の姿勢を強く打ち出した。日本側は今回の会談を「正常な軌道に戻った日中関係をさらなる高みへと押し上げる」(菅義偉官房長官)ものと位置づけた。

 日本政府によると、会談では経済協力について「競争から協調」を打ち出し、自由で公正な貿易体制を構築することを確認。環境問題や気候変動といった地球規模の課題に共に取り組むことでも合意した。

 北朝鮮問題も協議。習氏は訪日前、平壌で北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談しており、この会談の内容について首相に説明。無条件の日朝首脳会談に意欲を見せる首相の立場を金氏に伝えたという。

 沖縄県の尖閣諸島周辺での領海侵入事案について首相は習氏に自制を求めた。刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする香港の「逃亡犯条例」改正案に関連して首相は「人権尊重や法の支配といった国際的な普遍的価値が保障されることは重要だ」と指摘したという。

 両国が今回の首脳会談での合意を目指していたジャイアントパンダの新規貸与は、事務レベルの調整が間に合わずに見送られた。

 日中関係は、12年に日本が尖閣諸島を国有化、13年に安倍首相が靖国神社に参拝したことなどに中国が反発して冷え込んだが、17年ごろから関係改善の基調が続く。両国はすでに「関係は正常な軌道に戻った」との認識を示している。中国にとっては、通商紛争でトランプ米政権との対立が長期化しており、米国と同盟関係にある日本と接近することの価値がさらに高まっている。

 習氏とトランプ大統領の会談はサミット開会中の29日に開かれる見通し。悪化する米中関係が、世界経済の最大のリスクとされる中、緊張緩和の道筋を示せるかに注目が集まる。(及川綾子、冨名腰隆)