[アルバニー(ニューヨーク州) 11日 ロイター] – 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は11日、米経済の重しとなっている不確実性や弱いインフレ率を受け、利下げの根拠が強まっていると述べた。 

ウィリアムズ総裁は「今年これまでに比べ、追加緩和に対する条件や議論が徐々に高まってきた」と指摘。「特に貿易や世界的な経済成長に関し不確実性がある。低調なインフレ期待や2%を明確に下回って推移するインフレ率も問題だ」と述べた。 

また6月の米雇用統計が好調で、米中通商協議が再開されたが、前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で議論された問題はなくなっていないとした。 

10日に公表された6月のFOMC議事要旨では、多くのメンバーが、米経済のリスクが低下しなければ、目先の利下げが必要となるとの見方を示していたことが明らかとなったが、一部メンバーは7月30─31日のFOMCで利下げを行う強い根拠はまだ見当たらないとしている。 

ウィリアムズ総裁は、米経済は依然として良好な状態にあり、リセッション(景気後退)に陥ることなく、今年は長期的な成長が続く可能性があると指摘。記者団に対し、市場の期待がすでに社債や住宅ローンの低金利につながっており、経済活動を刺激しているとした。 

一方で、製造業生産の低下や世界経済成長および国内雇用の伸び鈍化、中銀目標を下回るインフレ率などの動向が消費や価格設定を巡る判断に悪影響を及ぼすかもしれないと強調。米経済成長が過去最長になったというデータが経済の微妙な状況を覆い隠しているとした。 

ウィリアムズ総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っている。