[11日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11日、上院銀行委員会で証言し、今月末の利下げを改めて示唆した。 

前日の下院金融サービス委員会での証言では、貿易摩擦や世界経済の減速による米景気拡大への影響に対処するため「必要に応じて行動する」と述べたが、この日は経済が「良好な立場」にあり、消費支出も依然堅調とする一方、貿易摩擦を巡る不確実性が見通しの重しになっていると指摘した。 

「企業は投資を抑制し始めている」とした上で「昨年や一昨年は非常に好調だった企業投資が弱まったと判断される。企業投資は非常に重要で、減速の要因の一つに通商や世界経済を巡る不確実性が挙げられる」と説明した。さらに「多少ながら一段の金融緩和が適切になり得ると連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの多くが考えている」との見方を示した。 

今月30―31日のFOMCでは最低0.25%の利下げ決定が確実視されている。 

フェイスブックが導入を計画している仮想通貨「リブラ」については、来週フランスで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議での主要議題になる見通しと表明。フェイスブックの規模を踏まえ、世界の金融規制当局がリブラに対する規制上の精査を行うべきとした。 

前日の証言では「リブラにはプライバシーや資金洗浄(マネーロンダリング)、消費者保護、金融安定性といった点で多くの深刻な懸念が生じている」とし、こうした問題への取り組みがない限り「リブラ計画を先に進めることはできない」と発言した。 

この日は、FRBとして金融分野での技術革新を妨げることは本意ではないが、リブラに対する監視をリードする明確な機関が存在しないことが一番の問題だと指摘。「この問題への取り組みが今後の焦点になる」との考えを明らかにした。またリブラに対する審査手続きは1年以上かかる見込みとした。