[2日 ロイター] – 米労働省が2日発表した7月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが鈍化する一方、賃金は緩やかに上昇した。米中貿易摩擦の高まりと共に来月の追加利下げの追い風となる可能性がある。 

非農業部門の雇用者数は16万4000人増と、ロイターがまとめたエコノミスト予想と一致した。5月と6月を合わせた雇用者数は従来から4万1000人下方改定された。平均週間労働時間は約2年ぶりの低水準となった。 

市場関係者のコメントは以下の通り。 

●労働市場は健全、通商問題対応で米国は優位 

<アリアンツ(カリフォルニア州ニューポートビーチ)の首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏> 雇用創出が底堅く推移する中で賃金が上昇し、米労働市場が健全な状態を維持していることが確認された。消費が経済成長の最大のけん引役となっていることで、通商を巡る緊張の高まりに対応するにあたり米国は優位にあるとの見方が裏付けられている。 
 海外の経済情勢に対する懸念のほか、市場や政治からの圧力がなければ、連邦準備理事会(FRB)にとり、この先の利下げを巡り従来型の経済的な論拠を挙げることは難しくなる。 

●FRBの姿勢変えるものではない 

<レイモンド・ジェームズ(メンフィス)の市場ストラテジスト、エリス・ファイファー氏> 予想通りだった。個人的には底堅い結果だったと考えている。雇用は創出されており、米国経済は米国のペースで動いている。 
 関税措置による影響で状況が変わる可能性がある。不確実性が高まれば、人々は消極的になる。ただ、今回の雇用統計は連邦準備理事会(FRB)が何を行い、何を行わないかを変えるものではなかった。 

●米経済の順調さ示す 

<キャピタル・エコノミクスのシニア米国エコノミスト、アンドルー・ハンター氏> 非農業部門雇用者数の16万4000人増は、世界経済の成長率や貿易政策を巡る懸念があるにもかかわらず、米国経済が依然として順調に推移していることを示している。トランプ大統領の対中追加関税発表を受け、米連邦公開市場委員会(FRB)に対する追加利下げのプレッシャーが高まることは明らかだが、雇用の伸びは比較的回復傾向にあり、通商面での緊張のみでは必ずしも追加利下げに十分ではない。 
 全体的には、今回の雇用統計は9月利下げに関して大きな変化をもたらさなかったが、市場が足元で織り込んでいるほど確実ではないとの見方を強める材料になった。 

●9月か10月の利下げと整合的、関税がより大きな問題に 

<レイモンド・ジェームズの首席エコノミスト、スコット・ブラウン氏> 予想からさほど外れていない。7月はやや増加したが、過去の数字が下方修正された。したがってトレンドは減速しつつある。 
 9月か10月の追加利下げと整合的な内容だ。連邦準備理事会(FRB)の政策見通しを巡っては、トランプ大統領が前日公表した関税がより大きな問題と言える。完成品コスト上昇の可能性が読み取れるためだ。