[ローマ 8日 ロイター] – イタリア連立政権を構成する「五つ星運動」と「同盟」との間の対立が深まる中、サルビーニ副首相(「同盟」党首)は8日、連立政権は崩壊しており、総選挙をやり直すしかないと表明した。 

サルビーニ氏は声明で、連立政権は発足から1年余りで崩壊しており、「有権者に速やかに選択を仰ぐべき」という考えをコンテ首相に伝えたと明かした上で、政権に対する不信任投票や首相辞任に必要な手続きを進めるため、議会を来週にも再開する可能性があると明らかにした。 

連立与党は7日、伊仏高速鉄道計画を巡り激しく対立推進派の同盟に対して五つ星運動が抵抗し、計画を阻止する動議を上院議会に提出するなど異例の事態となった。上院は結局、動議を反対多数で否決し、高速鉄道計画は継続する運びとなった。 

コンテ首相は8日、マッタレッラ大統領と会談し、政治情勢について協議した。政府関係筋によると、コンテ首相は会談で自身の辞任については言及しなかった。 

サルビーニ氏は前日、ローマ南方のサバウディアで行った集会で連立政権を崩壊に導く可能性を示唆。ただ政権継続の条件について具体的には明らかにしなかった。 

この日はサルビーニ氏がトリア経済・財務相の罷免を望んでいると伝わったことを受け、イタリア国債と独連邦債との利回り格差が12ベーシスポイント(bp)拡大。同盟関係筋はロイターに対し、サルビーニ氏は来週12日までに自身の考えを明らかにすることを明らかにしている。 

コンテ首相はこの日のマッタレッラ大統領との会談内容についてコメントを控えているが、マッタレラ大統領は2020年予算の編成作業を控え、議会解散に消極的である公算が大きい。 

政治リスクコンサルタント、テネオのウォルファンゴ・ピッコリ氏は「サルビーニ氏が綿密に演出した『夏の危機』が年内の解散総選挙につながる公算は小さい」とし、「内閣改造で落ち着く可能性が最も高い」との見方を示した。