[6日 ロイター] – [ワシントン 6日 ロイター] – 米労働省が6日発表した8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが13万人と、市場予想の15万8000人を下回った。小売業が7カ月連続で落ち込み、雇用全体の足を引っ張った。一方、賃金は前月比の伸びが拡大するなど明るさも見られた。
平均週間労働時間も製造業部門にけん引され増加に転じ、通商を巡る緊張が高まる中でも、堅調な消費が米経済の緩やかな拡大継続を下支えしていくとの見方が裏付けられた。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●大幅利下げ必要なし <ナショナル証券(ニューヨーク)の主任市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏> 雇用統計は全般的に良好といえる。大事な要素は労働参加率と賃金の伸びだが、いずれも予想通りもしくは予想を上回った。景気の失速を警告するものは見当たらず、かといって驚くほど好調でもない。したがって今回の統計で連邦準備理事会(FRB)の判断が変わることはないと予想される。大幅利下げの必要性を示す十分な兆候は見られていない。
●今後のFRBの対応変わらず <USバンク・ウエルスマネジメント(ミネアポリス)の債券調査部長、ビル・メルス氏> 雇用統計は総じてさえず、連邦準備理事会(FRB)が後手に回っていることがあらためて浮き彫りとなった。賃金や労働時間が伸びたとはいえ、インフレやインフレ期待の望ましい高進にはつながっていない。
今回の統計を受け、今後のFRBの対応に変化はないだろう。労働市場は経済全体の中で最も底堅い分野ではあるが、そもそも労働市場がFRBに緩和路線への転換を促したわけではない。
●通商問題が雇用の重し <米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(ワシントン)の首席エコノミスト、ダグ・ダンカン氏> 米経済の減速を反映したものとなった。ただ大幅な弱体化を示すものではない。雇用増のペースは減速しているが、失業率は横ばいとなったほか、時間当たり賃金の改善も続いている。
ただ、輸送、倉庫、製造業などの業種では、通商問題と関税措置が雇用の重しとなっていることに疑いの余地はない。