• QFIIとRQFIIの投資上限撤廃、必要なのは事前登録だけ
  • 象徴的な意味合い強いが、前向きな意思表示-スタンダードC

中国資本市場への国外からの投資に、また1つハードルが取り除かれた。中国が初めて外国人投資家にアクセスを許可してから、約20年になる。

中国国家外為管理局(SAFE)の10日発表によると、国外の投資家は中国の株式と債券を購入するため投資枠の承認を受ける必要がなくなり、3000億ドル(約32兆2000億円)に設定されていた中国資産購入合計額の上限は撤廃された。投資枠のほぼ3分の2は使われていなかった。

中国当局は国際取引での人民元使用を増やそうとしているほか、国際収支均衡化のため外国資本の流入を促そうとしている。投資枠撤廃は、中国の金融システムを世界に開放する一歩でもある。

SAFEは発表文で、適格外国機関投資家(QFII)と人民元適格外国機関投資家(RQFII)の両制度を変更し、外国人投資家が中国の証券に投資する際に必要なのは事前の登録だけになると説明。これにより「中国の債券と株式の市場はより幅広く国際市場に受け入れられるようになる」とし、市場の開放と国際的な金融取引の簡便化をさらに進めていく決意をあらためて示した。

中国の債券市場は規模13兆ドル、株式市場は規模6兆9000億ドル。投資枠3000億ドルのうち、8月30日時点で国外投資家が利用したのは1110億ドルにすぎず、今回の措置で新たな資金をどの程度呼び込めるかは定かではない。

スタンダードチャータード銀行の大中華圏・北アジア担当チーフエコノミスト、丁爽氏(香港在勤)は、「今回の動きは象徴的な意味合いが強く、大規模な資金流入を促すことはない」としつつ、「それでも中華人民共和国の建国70周年が近づき、米国との貿易協議に前向きな進展がない中で、中国当局からの前向きな意思表示となった」と語った。

原題:China Scraps Foreign Investment Limit in Stock, Bond Markets (1)(抜粋)