[ロンドン 11日 ロイター] – 香港証券取引所は11日、ロンドン証券取引所(LSE)(LSE.L)に316億ポンド(390億ドル)で買収を提案したことを明らかにした。LSEは先月、金融情報会社リフィニティブの買収を発表したばかり。香港証取は、LSEがリフィニティブの買収を進めないことが今回の買収提案の条件になるという考えを示した。 

香港証取は声明で「当社取締役会は、今回提案したLSEグループとの統合が極めて魅力的な戦略上の選択肢であり、市場インフラの世界的リーダーを誕生させる機会になると考えている」と述べた。 

英国の欧州連合(EU)離脱を巡る動きは混沌としており、先行きが見通せない状況だが、実現した場合は英国の主要金融センターとしての地位が低下しかねないとみられている。香港証取はロンドン金属取引所(LME)を傘下に収めており、すでにロンドンに拠点がある。LSEはアジア事業の強化を目指しており、最近、上海市場との相互取引を開始した。 

香港証取は「ロンドンと香港がともに世界金融センターとしての役割を末永く果たしていけるよう、全力で支援し取り組んでいく」とした。 

こうした中、LSEは、香港証取の買収提案を検討すると述べる一方、リフィニティブの買収計画の進展に引き続き専心していると表明した。LSEは8月、リフィニティブを270億ドルで買収することで合意したと発表している。 

専門家からは、今回の提案はLSEがリフィニティブ買収によってシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)やインターコンチネンタル取引所(ICE)に肩を並べるのを阻止する狙いがあるという声も聞かれた。 

ある関係者は「株主らはLSEのリフィニティブ買収案におおむね肯定的であるため、香港証取の提案を受け入れるかどうかは不透明だ」と指摘した。 

英財務省は、LSEが英金融システムの「極めて重要な一部」とした上で、「政府と規制当局は提案の詳細を念入りに調べる意向だ」と述べた。 

買収提案を受け、ロンドン株式市場でLSE株は一時17%を超えて上昇したが、結局5.9%高で取引を終了した。