[ロンドン 13日 ロイター] – 香港取引所(HKEX)は13日、ロンドン証券取引所(LSE)の買収を断念しない意向を示した。これに先立ち、ロンドン証取は香港取引所による買収案を拒否したことを明らかにした。
香港取引所は声明で、インターコンチネンタル取引所やCMEグループに匹敵する世界的な取引所を目指すためにロンドン証取の株主と協議すると指摘。「香港取引所はロンドン証取の株主が双方の詳細な事業活動を分析する機会を持つべきだと確信している」とした。
一方、ロンドン証取はこの日、香港取引所の買収案を拒否。ロンドン証取としては従来通り、8月に合意した金融情報会社リフィニティブの買収を進める構えを示した。
ロンドン証取は声明で、提案には重要部分に根本的な懸念が存在し、香港取引所と香港政府との関係も問題を複雑化している旨を香港取引所に書簡で伝えたと表明。「提案に根本的な欠陥がある以上、当案件をさらに検討する根拠は見当たらず、したがって取締役会としては全会一致で提案を却下した」と述べた。
また香港取引所によるロンドン証取の評価は「実質的に不十分」であり、数週間にわたってデモ活動が行われている「香港の現状」も株主の不確実性を高めるとした。
ロンドン証取の株価は買収案拒否を受け上昇し、終値は3.6%高の7399ペンスとなった。
ロンドン証取はまた、香港取引所による買収案は英国、米国、イタリアの規制当局などによって拒否される可能性が高いと言及。買収が実現可能との香港取引所の主張は早計で「信用できない」とした。
ロンドン証取はイタリアのミラノ証券取引所を所有しているほか、米国市場においては子会社のFTSEラッセルやLCHを通じて影響力を持っている。
香港取引所の提案によると、ロンドン証取の株主は現金2045ペンスと香港取引所が新たに発行する2.495株を受け取る。さらに香港取引所は買収完了後、ロンドン市場に株式を重複上場することを目論む。
ロンドン証取による買収案拒否により、香港取引所が敵対的買収に発展させる可能性はあるが、関係者によると香港取引所が買収額を引き上げたり、敵対的買収を仕掛けたりしたとしても、買収案が「あらゆる点において根拠が乏しい」ため成功する可能性は低いという。
UBSのアナリスト、マイケル・ウェルナー氏は「ロンドン証取による拒絶は、香港取引所が買収条件を再検討したとしてもロンドン証取の取締役会が基本的にリフィニティブ買収を選好することを明確に示している」と述べた。
市場関係者によると、香港政府が香港取引所の株式を6%所有する筆頭株主であるため、中国政府が香港への影響力を高めようとしている現状がロンドン証取買収の障害になるという。
フィッチ・レーティングスは「香港に対する中国当局の統制拡大」がデータや情報セキュリティーの面で英米の規制上の懸念を生じさせるとした。