[ワシントン/ニューヨーク 4日 ロイター] – トランプ米政権は4日、国内のバイオ燃料消費量を押し上げるための政策を発表した。来年から実施する。農業界の支援となる一方、石油業界からは反発の声が上がっている。 

環境保護局(EPA)は声明で、ガソリンへの混合が義務付けられているエタノール含有量を2020年から引き上げるほか、高エタノール混合ガソリンの販売を巡る規制撤廃を目指すとした。エタノール含有量の引き上げに関する詳細は明らかになっていない。 

政府が8月、31の小規模製油所に対するバイオ燃料混合義務の適用免除を発表したことを受け、バイオ燃料の原料であるトウモロコシなどを生産する農家は反発。バイオ燃料政策の見直しは、トランプ氏の支持基盤である農業州の反発を和らげる狙いがある。[nL3N26N0H3] 

EPAによると、今回の政策はパブリックコメントの期間終了後に最終決定される見通し。EPAは正確な数値を示さなかったものの、「2020年から150億ガロン以上の標準エタノールが国内で供給される燃料に混合されることを保証する」とした。 

製油所にエタノールなどのバイオ燃料を一定量ガソリンに混合することを義務付ける再生可能燃料基準(RFS)の下で混合量に関する規定を変更するためには11月30日までに最終決定される必要がある。 

米国最大のエタノール生産地であるアイオワ州の上院議員のほか、バイオ燃料関連団体の大半が今回の政策を歓迎。ただ一部の業界関係者からはEPAが具体的なエタノール含有量を示さなかったことを懸念する声も上がった。 

米農務省の元当局者でアイオワ州で農業を営むティム・ガノン氏は「大統領がRFSに関して決定するたびにEPA当局者が大手石油企業のためにその決定を覆してきた」とし、20年までに実現するか疑問との見方を示した。 

一方、米国石油協会(API)と米燃料石油化学製造者協会(AFPM)は共同声明で、トランプ政権による今回の政策決定に関する懸念を表明。「すでに負担を強いられているバイオ燃料規定を拡大する事により、米製造業への負担が膨らむほか、消費者のコスト増大も懸念される」とした。