【ワシントン時事】2020年米大統領選の民主党候補者争いで、最左派のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)の支持率が上昇を続けている。大統領になれば、巨大資本や富裕層の既得権益に切り込むのは確実。敵視される経済界も、その勢いを無視できなくなってきた。
バイデン、ウォーレン氏が引き離す=第3回討論会後の世論調査-米大統領選
政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、春先まで1桁だったウォーレン氏の平均支持率は、5日現在で24.0%。1位のバイデン前副大統領(26.2%)にあと一歩まで迫り、直近二つの世論調査ではいずれもトップに立った。社会保障や税制、環境問題などで大胆で具体的な政策を訴え、その「革新性」への支持が女性や若者らにじわりと広がっている。
「われわれにとってそれが最悪かって? それは最悪だ」。米交流サイト最大手フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、1日に音声が報じられた非公開の社内会議で、現実味を帯びてきた「ウォーレン大統領」への警戒を率直に口にした。
上院議員としてウォール街攻撃の前面に立ってきたウォーレン氏に対し経済界が抱くのは、「反ビジネス」という懸念だ。ウォーレン氏は大統領選で、富裕層の資産に一律課税する「富裕税」を提唱。フェイスブックやアマゾンなどIT大手について、市場を独占し「競争を無力化している」と解体を主張している。
同じ左派のサンダース上院議員の入院が報じられた2日、ニューヨーク株式市場では、同氏の支持がウォーレン氏に流れるとの観測から、株が売られた。仮にウォーレン氏が民主党の指名を獲得すれば、ウォール街の大口献金者が共和党のトランプ大統領支援に回るという見方もある。
一方、ウォーレン氏は利害関係者や大口の献金を辞退し、しがらみから自由な立場を強調する。2日のツイッターでは「ウォール街はウォーレン氏を恐れている」というテレビ各局のニュースを紹介。「政治はウォール街や億万長者でなく、あなた方のためにあるべきだ」と書き込み、自分への警戒を逆にアピール材料にしている。