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9月10日、「超大型ロケット砲」の試射を指導する金正恩朝鮮労働党委員長。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信

 北朝鮮が1年以内に政府の職員数を現在の3分の1まで減らす改革に乗り出したことが、内部事情に詳しい関係者の話で明らかになった。年配の職員をリストラし、実務に携わる若手を増やすという。国際社会の経済制裁が続くなか、組織運営にかかるコストを減らし、限られた資金を効率的に使う狙いがあるようだ。

 この関係者によると、正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が8月に指示を出したという。韓国統一省のまとめでは、2018年時点で北朝鮮政府には32の省、8の委員会を含む44の部署があるとされる。

 正恩氏は18年4月、核開発と経済再建を追う「並進路線」の終了を宣言し、経済に注力する方針に転換した。ただ、今年2月にハノイであった非核化をめぐる米朝協議では米側に制裁解除を拒まれた。正恩氏は今年4月になって「自力更生」を強調。国連の制裁下でも経済成長を目指す姿勢を打ち出していた。行政組織のスリム化も経済重視の流れに沿ったものとみられる。

 北朝鮮メディアによると、正恩氏は「自力更生」を訴える一方で、政策実行には、国外からも良い点を吸収するよう指示している。若手登用の背景には、組織運営に柔軟な対応を求める思惑もあるようだ。(ソウル=神谷毅)