[ニューヨーク 26日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は26日、FRBが2%に設定しているインフレ目標について、時間をかけて平均して特定の水準の達成を目指す「柔軟な」仕組みへの移行を提案した。 

このほか、政策金利が再びゼロ%に引き下げられた場合、前回の危機対策で実施されたように単に債券買い入れに依存するのではなく、FRBが国債利回りにそれぞれの上限を設定し、必要に応じて介入を行うことも提案した。 

ブレイナード理事はニューヨークで行った講演で、インフレ率が過度に低い状況が一定期間続いた後は、同程度の期間、インフレ率が2%を超えることを容認するよう提案。こうした考えはFRBの政策見直しの議論の中で出ている他の提案ほど厳格なものではなく、結果的に国民の高い信頼を得られ、FRB当局者が金利を決定する際により大きな余地が生まれる可能性があると述べた。 

その上で、理論的には見込みがあるものの、国民への伝達が難しい案が討議されているが、こうした案よりは「景気サイクルを通して平均2%のインフレ率を達成することでインフレ期待を2%にとどめる柔軟なアプローチの方が望ましいと考えている」と語った。 

例として、インフレ率が5年間にわたり平均1.5─2.0%で推移した場合、その後の5年間は2.0─2.5%を目指すことを挙げ、 FRBが目標に対しコミットメントを示すのではなく、目標をシフトさせることで市場とのコミュニケーションが容易になり、政策担当者の自由度も増すとの考えを示した。 

「平均インフレ目標」については類似した理論ではあっても、「特定の期間内に平均2%のインフレ率を達成しようとするもので、設定目標が非常に細かい」とした。 

FRBはインフレ目標の設定の方法などの見直しを実施しており、来年には結論を出したい考えだが、現時点では何も決定されていない。 

ブレイナード理事はこのほか、欧州中央銀行(ECB)や日銀のように低金利と低成長への対応で苦しむことがないよう、FRBがインフレ率を目標としている2%に時間をかけて押し上げていくことは「必要不可欠」との見解を表明。「インフレ率が目標を根強く下回る環境下で、FRBがインフレ目標を達成することは完全に必要不可欠だ。FRBがインフレ率を2%にしっかりと固定することは重要だ」と述べた。