日産・ルノー連合を率いたカルロス・ゴーン容疑者の罪状について、日本国内の一部には金商法違反(不正経理や報酬の未計上など)については無罪になる可能性が高いと主張する向きがある。個人的には「李下に冠を正さず」の観点から見て、強欲な独裁者である被告は明らかに有罪と断じてきた。事実に基づく断罪というよりは、情に基づいた裁断である。だが、そんな筆者の個人的な見解を裏付けるような記事を今朝みつけた。ロイターが配信した以下の記事だ。「日産が追加リストラ 米欧中心に4300人超削減、2工場閉鎖も=関係筋」。「関係者への取材で明らかになった」とあるから、ロイターの特ダネかもしれない。

記事によると日産は、経営再建に向けて昨年7月に発表した「事業改革計画」を改定して、追加リストラを行う方針だという。新たに2工場の閉鎖と、米国・欧州を中心にした事務系社員4300人以上の人員削減を検討しているようだ。ゴーン被告のもとで実施された拡大路線で収益力が大幅に低下、リストラによって経営体質の強化を図るのが目的とある。同被告が主導した拡大路線によって生産能力が肥大化、販売低迷を背景に「約4割(の生産能力)が稼働していない」という状況だとある。コストカッターのゴーン被告はいつの間にか日産を、贅肉いっぱいの肥満体質に変えてしまったようだ。その裏で、ベルサイユ宮殿で社費を使った結婚披露宴を実施している。強欲な独裁者のなれの果てである。

日本の司法制度に問題がないとは言わない。起訴されれば99.9%が有罪になるという世界に類例のない有罪率。自白を強要し、時には被疑者の人権が置き去りにされる前近代的な司法の“体質”、これは誰がみても問題だ。そういう指摘は国内にも以前からある。だが、今回の事件は日産の経営状況と、それを経営する経営者の資質や品格に関わる問題である。昨年の販売台数は米国で約10%、中国で1.1%減少した。中国ではトヨタが9%、ホンダが8.5%それぞれ増えている。司法制度の問題ではない。李下に冠を正すこともなく、生産能力を肥大化させて業績が悪化。挙げ句の果てはリストラに次ぐリストラを余儀なくされた経営者の、醜悪な金銭の要求である。ゴーン被告に対する個人的な心象風景は“真っ黒”である。