[ベルリン 3日 ロイター] – ドイツのIFO経済研究所は3日、同国の経常収支が貿易摩擦にもかかわらず、2019年も4年連続で世界最大の黒字になったとの推計を示す。発表に先立ち、ロイターが入手した関連資料で明らかになった。IFOの推計によると、2019年の経常黒字は約2930億ドルで、2位は日本(1940億ドル)を大きく引き離している。 

ドイツに対しては、国際通貨基金(IMF)と欧州委員会が内需・輸入の一層の推進を求める一方、トランプ米大統領も同国の輸出攻勢の強さを問題視しており、巨額の黒字が続けば、メルケル首相の経済運営への風当たりがさらに強まる可能性もある。 

ドイツの経常黒字は、同国の財・サービスの輸出が輸入を大幅に上回っていることが主な要因だ。IFOのエコノミスト、クリスチャン・グリム氏によると、経常黒字は昨年に約160億ユーロ増加し、対国内総生産(GDP)比約7.6%になった。 

同氏は「ユーロ急落を受けた対米輸出の増加や、需要が幾分回復した英国への輸出の伸びにより、ドイツの総輸出は再び下期に大幅に増加した」と指摘。「一方、ドイツ産業のリセッション(景気後退)で中間財の輸入が大幅に抑制され、夏場の輸入の伸びはかなり弱かった」と語った。 

欧州委員会は、長期的に持続可能と見なす経常黒字の水準を対GDP比6%としている。