中国・武漢市からの帰国者約180人が市内のホテルに滞在している千葉県勝浦市は3日夕、市芸術文化交流センター大ホールで新型コロナウイルスの現状と対策について解説する講演会を開いた。市内のホテルが経過観察の宿舎として使われることを市民は事前に知らされず、「なぜ勝浦なのか」などの不満や不安の声が出ていたため、市が急きょ、開催を決めた。会場には約400人が集まり、熱心に耳を傾けた。
講師はホテル滞在中に陽性反応が出た2人が入院している亀田総合病院(鴨川市)感染症科の細川直登部長(53)。細川部長は、武漢市から日本人が帰国した経緯と国内で実施した検査について詳細に説明した上で、「受け入れた勝浦はヒーローとして称賛されるべきだ」と語る一方、今回の新型コロナウイルスについて「感染力は通常のインフルエンザウイルス並みで、おそらく毒性は強くない。一般的なせきエチケットや手洗いで予防できる」と指摘。「現在、勝浦に滞在している人たちは、検査で新型コロナウイルスを持っていないと認められた人たち。市内で感染は100%ない。市は安全宣言を出してもいい」と冷静な対応を呼びかけた。細川部長は1月31日にも鴨川市役所で同様の講演をしている。
講演を聞いた勝浦市の土屋元市長は「安全宣言を出すには専門知識がないが、市民の不安を払拭(ふっしょく)することはできたと思う」とほっとした表情を見せた。【中島章隆】