[ニューヨーク 20日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、円が対ドルで約10カ月ぶりの安値を付けた。日本発の マイナスの経済ニュースに対する懸念などが重しとなり円の下落が続いている。
円は対ドルで0.62%安の112.04円と、昨年4月以来の安値を付けた。円は 過去2営業日で約2%下落。2日間の下落率としては2017年9月以来の大きさとなっ た。
スコシアバンク(トロント)の首席外為ストラテジスト、シャウン・オズボーン氏は 「日本国内で新型コロナウイルスの感染拡大を巡る懸念が広がる中、円は安全通貨として の魅力を失っている。円は今週に入り大きく下落しているが、オーバーナイトの取引で一 段と軟調となった」と述べた。
中国を発生源とする新型ウイルスを巡っては、中国当局は感染拡大ペースの鈍化を報 告。ただ、検疫のため横浜港に停泊し、新型ウイルスの集団感染が発生したクルーズ船「 ダイヤモンド・プリンセス」に乗船していた80代の男性と女性が1人ずつ死亡したこと を受け、当初の想定よりもウイルスの感染力が強い恐れがあると警戒感が高まっている。
このほか、内閣府が17日に発表した19年10─12月期国民所得統計1次速報に よると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス1.6%、年率換算でマイナス6. 3%となった。5四半期ぶりのマイナス成長となり、減少幅は2014年4─6月期以来 の大きさとなった。
バノックバーン・グローバル・フォレックスの首席市場ストラテジスト、マーク・チ ャンドラー氏は「中国との関係、新型ウイルスに対するエクスポージャー、日本の国内的 な問題が相まって、日本経済は2四半期連続でマイナス成長に陥るとの懸念が出ている」 と述べた。
主要6通貨に対するドル指数は0.30%高の99.864と、100に迫った。同 指数は過去約3年間は100に乗せていない。
この日発表の米経済指標では、15日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み )が前週比4000件増の21万件と、小幅な伸びにとどまったほか、フィラデルフィア 地区連銀の2月の連銀業況指数は36.7と、17年2月以来の高水準となった。
こうした中、連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は、米経済が失速する兆しは出ていないと述べ、新型ウイルスを巡る懸念は示さなかった。
豪ドルは約11年ぶりの安値を更新。1月の失業率が求職者数の増加を背景に5.3 %と、19年3月以来の低水準だった前月の5.1%から上昇したことが売りを誘った。英ポンドは対ドルで3カ月ぶり安値を付けた。
ドル/円 NY午後4時 112.06/112.09 始値 111.84 高値 112.21 安値 111.71 ユーロ/ドル NY午後4時 1.0788/1.0792 始値 1.0795 高値 1.0820 安値 1.0784