きょうからほぼ全国で小中高の一斉休校がスタートした。もちろん、これに加わらない学校もある。それはそれで理解できる。休んでも休まなくてもメリットとデメリットがつきまとう。安倍首相の思いつきのような、突然の休校要請である。親も子供も学校も、もっと言えば親が勤める企業も病院も、末端の行政も、政治家も、どこもかしこも戸惑い悩み、苦しんでいることだろう。未知の新型ウイルスが巻き起こした混乱である。突如、東日本大震災に匹敵する自然災害に見舞われたのだ。混乱しない方が不自然だ。渦中に入ると誰も最善の策が見えなくなる。試行錯誤しながら前に進むしかない気がする。
けさ、ニュースを見ながらそんな気がした。先週の金曜日、安倍首相は政府内の根回しもないまま、突然、大方針を打ち出した。それに関連してハフィントンポストは1日付で、安倍首相の決断に対する海外の反響をキャリーしている。英紙フィナンシャル・タイムズは、「日本の休校措置は頭痛と反発を引き起こした」と伝えている。3人の子どもを持つシングルマザーが対応に追われる様子を紹介し、「ベビーシッターやナニーの文化が浸透していない日本では、親の絶望感が高まった。柔軟性のない働き方やジェンダーの不平等、ひとり親家庭や共働き家庭が増えることによって生じた格差も浮き彫りになった」と指摘している。
ニューヨークタイムズは、「日本政府はすべての学校を閉鎖することによって親に衝撃を与えた」との見出し。「安倍氏は、ウイルス感染をコントロールするためアグレッシブに行動していることを見せたかった」と批判した。ロイター通信は「安倍氏の突然の要請を受け、憤った日本の親たちは教職員や企業と急いで連絡をとり、1カ月間どのような生活を送るか調整した」と報道した。個人的には多少の混乱があっても時間とともに親も子供も学校も落ち着きを取り戻すとみる。現場には危機を乗り越える底力がある。気になるのはむしろ現場を知らない官僚や政治家、学識経験者、メディアなど、政策決定に関わる“主流派”の人たちだ。