FRBがきのう、G7の財務相・中央銀行総裁会議のあと緊急利下げを実施した。下げ幅も0.5%と大幅。市場の一部にこうした事態を予測する向きもあったが、異例の利下げだった。トランプ大統領が利下げを要求していたということが理由ではないと思うが、この利下げは本当に意味があるのだろうか。素人ながら疑問を感じる。それを証明するかのようにNYダウは、利下げ直後に少し反応したものの、終わってみれば800ドル弱の急落となった。NYダウを不安指数と見立てれば、人々の間に広まっている不安感に対して、FRBの大幅利下げはほとんど効果がなかった。
人々がいま感じている不安の源泉は何か、それは「未知のウイルス」への恐怖である。この不安を取り除くために最優先でやるべきこと、それは感染拡大の防止であり、重症者に対する万全の診療体制の提供である。それを推進するための法律が必要なら早急に手当てする必要もある。政府も自治体も医療関係者も、多くの人がそうした方向で懸命に努力している。G7やFRBがそのために努力していることも理解できる。だから、G7として緊急電話会議を開き声明を発表したのだろう。これを受ける形でFRBは利下げに踏み切った。だが、市場関係者は言う。「結局のところ、ウイルスの感染拡大に対し、利下げは無力である」(ロイター)と。
共同声明の発表後に会見した麻生財務大臣は、「『G7がまとまって対応します』というメッセージを出せたことは、極めて大きい」と胸を張った。感染拡大の防止や診療体制の強化とは、直接関係のないところで成果を誇る。この大臣のピントはいつも肝心なところでボケてる。それはそれとして、いま必要な視点は「未知のウイルス」との戦い方である。政府も国会もメディアも、日本中が一丸となってこの戦いに挑んでいる。だからこそというべきか、なぜ「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に変わって新法が必要なのか、勉強不足といってしまえばそれまでだが、理解に苦しんでいる。この件を巡ってきょう、与野党の党首会議が行われる。