新型コロナウイルスの感染拡大で品薄が続くマスクについて、安倍晋三首相は5日、転売を禁止する対策を指示した。石油危機への対応として昭和48年に制定された国民生活安定緊急措置法を活用する。来週取りまとめる第2弾の緊急対応策に盛り込む。政府は既にインターネットオークションでのマスク出品自粛を運営会社に要請しており、ヤフーはこれに応じる方針だが、罰則を設けて一段と厳しい対応を取り、品薄解消を狙う。
首相は、5日に官邸で開いた感染症対策本部の会合で、「転売を目的とした購入が、店頭におけるマスクの品薄状態に拍車を掛けている」と指摘した。政府は国民生活安定緊急措置法の政令を改正し、問題が収束するまでの間、取引価格にかかわらず、マスクの転売を禁止する方針。個人と事業者の両方が対象となる。
買い占め行為自体は対象にならないが、「転売の禁止で買い占めに動くインセンティブをなくす」(政府関係者)ことで、未然に防ぎたい考えだ。法律では罰則の上限を「5年以下の懲役または300万円以下の罰金」としており、この範囲内で検討を進める。来週中にも施行する。
供給面の対策に関して首相は、洗って繰り返し使える布製のマスクを2千万枚、政府が一括購入し、配布する考えを表明。高齢者の介護施設や障害者施設、保育所、学童保育などに、「1人1枚は行き渡るようにする」と強調した。