[ニューヨーク 9日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、安全通貨である円とスイスフランが急上昇した。原油価格や株価の急落が投資家の動揺につながり、リスク選好度が大幅に低下した。 ただドルは新興国通貨に対して上昇した。 

米10年債利回りが一時0.40%を割り込んで過去最低を更新し、イールドカーブ全体が初めて1%を下回ったことも警戒感につながった。 

テイラー・グローバル・ビジョン(ニューヨーク)のジョン・テイラー社長は「ドルはアジア通貨に対して堅調に推移し、新興国通貨を押し下げるだろうが、ユーロに対しては弱含むだろう。ドイツやスイスに資金が流入する一方、米連邦準備理事会(FRB)は無制限のレポ取引で世界を救っているためだ」と述べた。 

FRBの金融調節を担うニューヨーク連銀は9日、銀行システムに十分な資金を供給するために、国債などを担保に資金を供給するレポオペの上限を引き上げると発表した。 

ユーロ/ドル市場のボラティリティー指標は2017年4月以来の高水準に上昇。ユーロは1%超上昇し、19年1月以来の高値を付けた。 

ドル/円の1カ月物インプライド・ボラティリティーJPY1MO=FNは18%を超え、11年ぶりの高水準となった。 

午後の取引でドル/円は一時101.20円と3年超ぶりの安値。終盤では約3%安の102.23円となっている。 

円の3日間の上昇率は08年の金融危機以降の大きさ。過去12日間の上昇率は約9%となった。 

ユーロ/ドルEUR=は1.4%高の1.1443ドル。取引時間中には一時1.1492ドルと昨年1月以来の高値を付けた。 

ドル指数=USDは一時18年9月以来の安値に下落。終盤は0.5%安の94.913。 対スイスフランCHF=では1.3%安の0.9280フランとなった。 

原油価格に連動しやすい通貨も値動きが大きかった。 ノルウェークローネは過去最安値を更新。対ユーロEURNOK=D3では4%安の10.857クローネ、対ドルNOK=D3では3.1%安の9.535クローネとなった。 

カナダドルCAD=D3は対米ドルで1.5%安。豪ドルAUD=D3やニュージーランドドルNZD=D3は対ドルで約2%安となった後に切り返した。 

ドル/円 
 NY午後3時 102.07/102.10 
     始値 102.35 
     高値 102.60 
     安値 101.20 

ユーロ/ドル 
 NY午後3時 1.1460/1.1464 
     始値 1.1423 
     高値 1.1484 
安値 1.1376