玉木雄一郎・衆議院議員=根岸基弘撮影
玉木雄一郎・衆議院議員=根岸基弘撮影

 新型コロナウイルスの影響で日本経済が急速に悪化している。麻生太郎財務相は10日の参院財政金融委員会で、これまでの「緩やかな回復」との政府の景気判断は大きく変わるものではないという趣旨の答弁をしたが、完全に認識を誤っている。

 内閣府が9日に発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は年率換算で7.1%減だった。衝撃的な数字だ。また、消費増税前の19年7~9月期も従来の年率換算0.5%増から、0.1%増に下方修正された。

 駆け込み需要がないのに「反動減」だけあった。増税前から日本経済は下降局面に入っていたことを意味する。そこに増税の影響があり、さらに1~3月期にコロナウイルスの影響が出てくる。

 東日本大震災は確実に上回る。リーマン・ショック並み、あるいはそれを上回る可能性も出てきている。だからこそ、予備的、予防的な緊急経済対策を一刻も早く講じるべきだ。

 リーマン・ショックの08年は年率換算マイナス3.4%、翌09年が2.2%のマイナスだ。両年を平均するとマイナス2.8%程度となる。現在のGDP550兆円の約3%とすると15兆円程度になる。

 だから、最低でも15兆円規模の緊急経済対策が必要だ。状況によっては20兆、30兆円規模が必要だ。

 ではどういう内容とするか。「消費、投資、政府支出、純輸出」というGDPの4つの構成要素のうち、米国や中国がこのような状態では輸出には頼れない。

 政府支出の公共事業はこれ以上の支出が難しいうえに、労働力不足で、それを補う外国人労働者も入ってこない。民間の設備投資も消費が伸びないと怖くてできない。だから結局はGDPの6割を占める消費をいかに活性化するかが最大の問題だ。

 まずやるべきは家計部門の減税だ。消費税減税と所得税減税の二つの方法がある。

 所得税減税については小渕内閣の際に約9兆円の定率減税を実施している。しかし、当時と比べる…