新型コロナウイルスの拡大防止策を検討する政府の専門家会議を終え、記者会見する尾身茂副座長(右端)ら=19日夜、厚労省
新型コロナウイルスの拡大防止策を検討する政府の専門家会議を終え、記者会見する尾身茂副座長(右端)ら=19日夜、厚労省

 新型コロナウイルスをめぐり、政府の専門家会議(座長・脇田隆字国立感染症研究所長)は19日、大規模イベントについて「集団感染が起こると全国的な感染拡大につながる」として引き続き慎重な対応を求める一方、感染が確認されていない地域では、学校活動の再開などを容認する新たな見解を示した。

 政府は見解を踏まえ、イベント自粛や休校の要請を継続するかを判断する。萩生田光一文部科学相は19日、学校再開の目安を来週の早い段階で示す意向を明らかにしている。

 専門家会議は国内の感染状況について、感染源不明の感染者が増加している地域があるとして「爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねない」との懸念を示した。イベント自粛や学校の一斉休校などの効果は「定量的な測定は困難」としながら、「一連の国民の適切な行動変容により、新規感染者が若干減少した」と意義を認めた。

 今後の対応については、地域ごとに3段階の感染状況を踏まえた基本的な考え方を提言。感染拡大傾向にある地域では、緊急事態宣言などのメッセージや警告を出し、一律の活動自粛の必要性を適切に検討する必要があるとした。

 収束傾向にある地域では、感染拡大リスクの低い活動から徐々に解除することを検討。再び拡大の兆候が見られたら活動を停止する。感染が確認されていない地域では、学校活動やスポーツ観戦、文化・芸術施設の利用などを徐々に実施してもいい。ただ、密閉空間など感染リスクを高める環境を徹底的に回避することが不可欠だとした。

 大規模イベントには引き続き慎重な対応を求め、開催する場合の主催者や参加者の注意事項を例示した。体温測定や症状の有無を確認し、具合の悪い人は参加を認めないことなどを求め、こうした感染リスクに対応できないなら「中止や延期をしてもらう必要がある」と強調した。