新型コロナに感染している英国のジョンション首相がICU(集中治療室)に移された。症状の悪化に備えた予防的措置だと言う。同首相は入院する前、繰り返し国民に呼びかけていた。「家にいよう、命を守ろう」。日本では緊急事態宣言がきょう発動される。昨日の会見で小池知事は次のように強調した。「(自粛)要請は、自分の命を守るため、家族を守るため、大切な人を守るため、そして私たちが生活するこの社会を守るためだ」と。世界の指導者はおそらく同じ思いだろう。どの国の国民にもこれに応える義務がある。それでも欧米には国の命令を勝手に無視する若者がいる。日本でも慶應病院の研修医が感染した。病院の自粛要請を無視して40人で会食していたという。言語道断、医者として失格だ。
新型コロナウイルスとの闘いは、ある種の戦争だ。ウイルスが勝つか人類が勝つか、答えは二つに一つだ。米国家経済会議(NEC)のクロドー委員長は昨日こう言った。「この戦争を戦い、パンデミックと闘うために必要だ」と。米政府が検討している「戦時国債」の発行に賛成するという趣旨だ。こう書いただけで拒絶反応を示す人が日本にはいっぱいいると思う。だが、中国や欧米のトップは当初から新型コロナとの戦いを「戦争」と位置付けていた。それでも、命令を無視して外出する人が欧米では後を絶たない。NY州のクオモ知事は「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)規定の違反者に対する罰金を1000ドルに倍増する」(ロイター)と、きのう発表した。
緊急事態宣言が発表されたあと日本で、感染拡大がピークアウトすることを切に願うが、慶應病院の研修医のような例もある。性善説を前提にした自粛要請がどこまで効果を発揮するか、これは一種の社会的実験のような気がする。北海道の鈴木知事が任意で行なった自粛要請は、知事の責任においてなされたものだが、ものすごい効果を発揮した。今度は法律の裏付けのある自粛である。同じことが大都市の東京圏や大阪圏でも起こって欲しいと思う。同時に東京のロックダウンについても真剣に検討すべきではないか。そんな思いが頭を過ぎる。言い出しっぺの小池知事が昨日否定したが、最悪事態を想定しておくことは常に必要だ。短絡的に有事法制と結びつけるべきではない。
- 投稿タグ
- 感染症