安倍晋三首相との会談後、記者団の質問に答える自民党の岸田文雄政調会長(左)。右は二階俊博幹事長=16日午後、首相官邸
安倍晋三首相との会談後、記者団の質問に答える自民党の岸田文雄政調会長(左)。右は二階俊博幹事長=16日午後、首相官邸

 安倍晋三首相は16日午前、新型コロナウイルス対策として国民に一律10万円を給付する案をめぐり、公明党の山口那津男代表と電話で協議した。山口氏が収入の減った世帯向けの30万円給付を、10万円の給付に置き換えるよう2020年度補正予算案の組み替えを要請したのに対し、首相は「引き取って検討する」と答えた。

【図解】政府・与党が新たな現金給付を検討

 山口氏が党中央幹事会で明らかにした。山口氏は「結果を見守りたい。極めてスピーディーに国民の窮状をしっかり受け止める大きな政治判断が必要だ」と指摘。同時に「政治の意思決定をスピーディーにやれば、今月内に(補正を)成立させることは不可能ではない」とも語った。

 これに関連し、北側一雄中央幹事会長は記者会見で、「10万円給付」をめぐる政府・与党の調整は16日中に決着させたいとの考えを示した。

 電話協議を受け、首相官邸には麻生太郎副総理兼財務相、財務省の太田充主計局長、自民党の二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長らが相次いで入った。15日に行われた自公両党の協議で、自民党は補正の組み替えに反対していた。

 この後、岸田氏は記者団に「首相からは引き続き調整するよう努力してほしいと言われた」と述べた。

 菅義偉官房長官は16日の記者会見で「山口代表からの要請に、首相は『まずは補正予算成立に全力を挙げ、その後、方向性を持ってよく検討したい』と応答している」と述べ、補正組み替えに慎重な考えを示した。