• 財政規律に厳格な国も、ECB経由の債務共有なら受け入れやすい
  • 23日に首脳会合、共同債発行巡り亀裂が鮮明になる見通し

新型コロナウイルス危機のコストをユーロ圏が共同で負担することに一部の首脳は反対しているが、結局は欧州中央銀行(ECB)を通じて債務を共有化することになるかもしれない。

  新型コロナに起因するリセッション(景気後退)の中で各国が発行する巨額の国債をECBが吸収することができるという考えが、一部エコノミストの間で支持を得始めている。慎重に、長時間をかけて行えば、財政ファイナンス(マネタリーファイナンス)を禁じる法を迂回(うかい)することも可能だとエコノミストらは論じる。

  こうしたあからさまでないやり方であれば、ドイツやオランダなど強硬な国からも、通貨同盟の崩壊を回避する手段として受け入れられやすいだろう。

  アクサのチーフエコノミストでフランス中銀に勤務した経歴があるジル・モエック氏(ロンドン在勤)は、「財政規律に厳格な国も、どちらかを選べと言われれば債務共有化よりはECB経由の方法を選ぶだろう」と述べた。債務共有化はこうした国にとって「政治的に受け入れがたいので、あまりにも複雑で誰も理解しないことを期待して裏口からこっそり進める方を望むだろう」と話した。

  ユーロ圏は財政同盟ではないため各国がそれぞれに国債を発行しているが、パンデミック(世界的大流行)でユーロ圏の結束の限界が試されている。23日の首脳会合では財政に保守的な各国が「コロナ債」などと呼ばれる共同債発行に強く反対し、亀裂が鮮明になるとみられる。

  ECBは既にイタリア債を多く購入することで利回り抑制に寄与しているほか、債券購入や受け入れる担保についての規則を緩和した。

原題:ECB Could Be Europe’s Back Door to Sharing Its Debt Burden(抜粋)