新型コロナウイルス感染症の対策を検討する政府専門家会議(座長=脇田隆字・国立感染症研究所長)の会合が22日あった。全国的な感染拡大の傾向を受け、緊急事態宣言の期間中に迎える5月の大型連休での帰省、イベント参加などの自粛を改めて呼びかけた。東京、大阪、福岡など13の特定警戒都道府県での感染者の増加が続き、都市部との人の移動により、他地域でも集団感染が発生。対策として、人と人との接触機会の8割削減を目指し、大型連休中は自宅で過ごすことや、事業者にはスーパーや商店街での入場制限などを求めた。
専門家会議が同日公表した提言では、感染状況について13の特定警戒都道府県で感染者の7割以上を占め、感染源が分からない患者が8割に上ったと分析。残る県でも増加傾向にあるとした。1カ月以内に収束するための目安とする接触機会の8割削減の達成については、現時点では確認できなかったとした。
こうした状況から大型連休中に、人との接触機会を減らすことの重要性を強調。主に自宅で過ごし、食料品の買い物など必要な外出も単独か、家族であれば最小限の人数とするよう求めた。特に帰省について「(感染拡大の恐れのある)遠距離の人の移動と、重症化するリスクの高い高齢者との接触の機会が重なる」として自粛を呼び掛けた。
さらに外出自粛で身近なスーパーや商店街、公園に人が集まりがちなことを指摘。事業者に対しては▽入店前後の手洗い▽扉など共用部分の定期的な消毒▽混雑時の入場制限▽一方通行の誘導――などの対策強化を求めた。公園は一律に閉鎖せず、地域で協議して使い方の工夫や感染対策への協力呼び掛けなどをし、利用を継続するよう勧めた。
緊急事態宣言の解除については「行動変容の評価に加え、感染状況、医療提供体制の状況などを総合的に勘案する」との記載にとどめた。会合後の記者会見で厚生労働省クラスター対策班の西浦博・北海道大学教授は「緊急事態宣言による制限は数カ月にとどめたいが、むこう1年は付き合っていかなければならない」と長期化の見通しを示した。
一方、政府は22日、専門家会議の会合を受け、首相官邸で対策本部会合を開いた。安倍晋三首相は、会議がまとめた、人との接触を8割削減する「10のポイント」に触れて「日常生活に着目したさまざまな工夫が詰まっている。今一度、行動を見直し、協力をお願いする」と述べた。また、5月の大型連休中にネット動画による「オンライン帰省」を行うなど外出自粛への協力を呼びかけた。
また、西村康稔経済再生担当相は同日、一部のパチンコ店などが営業を続けていることに関し、都道府県がより強い「休業要請」を行うためのガイドラインを23日に示す考えを明らかにした。複数の知事からの要望を踏まえた。
【阿部亮介、熊谷豪、花澤葵】