新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言について、政府内で5月6日の期限での全面解除は困難との見方が強まっている。特に13の「特定警戒都道府県」については、感染拡大が収束していないため、「解除は考えにくい」(政府高官)との声が出ている。
政府は感染状況に関する専門家の分析を踏まえ、5月初旬に解除や延長について最終判断する見通しだ。菅官房長官は24日の記者会見で「状況は時々刻々と変化している。(期限を)延ばすかどうかは、専門家の話をうかがったうえで判断したい」と述べた。
特定警戒の13都道府県は、感染者の増加ペースが鈍化傾向にあるものの、東京都などでは予断を許さない状況が続いている。内閣官房幹部は、「今月中によほど感染者が激減しなければ、延長だろう」と話す。
宣言を延長すれば、学校の休校や店舗の休業の長期化などで経済や国民生活への影響拡大が避けられない。政府内では、延長幅を1か月未満の5月末とする案などを慎重に検討している。
特定警戒ではない34県を巡っても、全国的な対策を続けるために延長すべきだとの声がある。
緊急事態宣言の全国への拡大の背景には、先に宣言が出された東京や大阪など7都府県からその他の地域に人が流れ、一部の知事らが対象に加えるように声を上げたことがあった。
34県を解除すれば、再び同じような人の流れが生まれる恐れがある。首相官邸幹部はこうした事情を念頭に、「知事たちから解除を求める声は寄せられていない」と話す。
政府内ではこのほか、外出自粛の要請などを維持しながら一部で解除に踏み切ることや、感染状況に応じて特定警戒都道府県を増減させた上で延長することなどが検討されている。