ゴールデンウィークに突入して日本ではこの1、2週間の過ごし方が山場になりそうな雰囲気になってきた。「最低でも7割、極力8割」という接触機会の削減は、国民一人一人の行動に関わっているというわけだ。もたつく政府の対応を国民全体でカバーする、そんな雲行きになっている。これと正反対なのが隣国韓国だ。2015年5月、中東呼吸器症候群(マーズ)の感染拡大を許した反省を踏まえて韓国は、前政権の時から感染症対策に取り組んできた。その効果がが今回の新型コロナ対策で遺憾無く発揮しされた。2月下旬に900人を超えていた感染者の数は、昨日の段階で10人まで抑え込んでいる。
韓国で顕著なのは感染防止対策として徹底的にPCR検査を行なっていることだ。1日の検査能力は全体で40万件に達している。コロナの検査や診断は「国民安心病院」(全国に341カ所)や「選別診療所」(同612カ所)で受け付ける。検査方式にも工夫が見える。「ドライブスルー検査」や「ウォーキングスルー検査」が一般的だ。検査で陽性が判明すれば徹底的に隔離措置がとられる。国内だけではない。海外からの帰国者も空港で全員にPCR検査が義務付けられている。検査を増やせば医療体制の崩壊を招きかねない。それを防ぐために軽症者の隔離施設を早くから準備してきた。先を見据え先手を打って対応策を即決する。日本にはできないスピード感である。
マスク対応がまたすごい。日本では「アベノマスク」と揶揄されているが、韓国は2月の中旬に「緊急需給調整措置」を実施した。3月に入ってからは一人当たりの購入量を1週間に2枚に制限している。これを実現するために「住民登録番号」を活用、末尾の数字で曜日ごとの購入者を制限したのである。それだけではない。「マスク重複購買確認システム」を稼働させ、全国の販売店で購入者を確認できるようにした。過去の失敗から生み出された先手必勝の対応である。ITも積極的に活用する。産業革命を唱えIT立国を豪語する日本だが、韓国には遠く及ばない。以上はニッセイ基礎研究所の金明中研究員のリポートの焼き写しである。興味ある方は当サイトにもアップしたのでそちらをご覧ください。
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