11日にこの欄で、安倍政権の“出口”が見えてきたと書いたが、きょうは新型コロナウイルスの本当の「出口」が見えてきたような気がした。政府も専門家会議もこれまでほとんど関心を示さなかった民間活力の導入が、一気に進みそうな気配が漂ってきた。すぐに効果が出ることはないとしても、これでなんとか“未知なる脅威”、コロナウイルスと対等に戦う武器を手にすることができるような気がする。考えてみれば政府も専門家会議も国会も、前例とか慣習、これまでの実績など古い制度にこだわり続けてきた。新しい脅威に対抗するためには新しい武器が必要だ。感染者の把握にも医療崩壊を防ぐためにも、試行錯誤を繰り返しながら新しい武器を準備する、これが最善のコロナ対策だ。
けさのニュース(過去分も含め)から思いつくマナにピックアップしてみる。厚労省はコロナの感染をいち早く判別できる「抗原検査」の導入を承認した。検査に必要な時間は30分ほど、PCR検査と組み合わせて使えば感染状況の把握が簡単にできるようになる。東京都は6月にも「抗体検査」を導入する。こちらも感染の広がりを把握する上で効果があるだろう。大阪府は二次感染に備えて「コロナ追跡システム」を導入するという。韓国や台湾にも似たようなシステムがあるが、こちらは個人情報を使っており日本では使いづらい。そこを補いながらスマホを利用して、イベント参加時などにメールアドレスを登録してもらうシステムだ。感染者が発覚した場合登録されたメールを使って感染情報を知らせることができる。
このほか唾液を使ってPCR検査を行う方法も北海道大学が現在実用化に向けた準備を進めている。これができれば抗体採取の人員が大幅に削減できる。日本には様々な知見があるが、政府も専門家会議もこうした能力を活用しようとしていない。それどころか、国会のオンライン化は「憲法の定めるところによると非常に無理がある」(森山自民党国対委員長、朝日新聞より)と否定的だ。8割の接触機会の削減を求める国会こそが「三密」の宝庫だ。国会議員はくだらないことで怒鳴り合い、飛沫を撒き散らしている。コロナ後の世界に求められるのはITリテラシーと、新しい対策を柔軟に発想できる人材だ。国会議員や官僚、有識者、メディアで生き残れる人は何人いるだろうか。
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