【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)の年次総会が18日、2日間の日程でウェブ会議方式で開幕する。新型コロナウイルスの感染拡大以降で初めての総会となる。新型ウイルスをめぐっては、米国が中国とWHOを厳しく糾弾。テドロス事務局長は「1948年のWHO創設以来、最重要な総会の一つだ」と国際協調を促すが、米中両国の対立が影を落とすことになりそうだ。
総会では各国の代表が新型ウイルスについて意見表明や現状説明を行う見通しだ。米国は「新型ウイルスの発生源は中国だ」(トランプ大統領)などと中国批判を改めて展開し、中国は激しく反発するとみられる。
米中はWHO非加盟の台湾の扱いをめぐっても対立。米国のほか欧州や日本が新型ウイルス対策の模範として台湾の総会へのオブザーバー参加を求めているのに対し、中国は「断固として拒否する」と強硬姿勢を崩しておらず、総会での応酬は必至だ。
全加盟国が参加するWHOの意思決定機関である年次総会は、予算の承認権限などを持つ。しかし、今回は本来ジュネーブの本部で4日間の予定をウェブ会議の2日間に短縮。予算案なども予定議題に盛り込まれなかった。WHOは「総会を年内にもう一度開き、残りの議題を扱う」ことを検討するとしており、組織運営に関する実質的決定はできない可能性が高い。