報道によると政府は25日に再度専門家会議を開き、東京、神奈川、埼玉、千葉と北海道の1都1道3県について緊急事態を解除する方針を固めたようだ。この週末にこれらの地域で感染爆発(オーバーシュート)が起こらない限り、4月7日以来続いてきた特措法に基づく緊急事態宣言は全面的に解除されることになる。この間、必死の思いで自粛を受け入れた企業や個人、とりわけ中小零細企業や個人事業主、小学生から大学生までの学生、多くの面で生活の犠牲を迫られた国民の皆様に、一足先に“ご苦労様”と声をかけたい。この週末に感染者の減少傾向に歯止めがかかることはないだろう。統計学の理論的根拠とは、そういうものらしい。

だから一足先に結論めいたことを書くことも、統計学的には許容の範囲ということになる。それはそれとして、5月4日に決めた緊急事態宣言の延長から3週間で感染状況がここまで好転するとは正直思わなかった。まるで、延長を決めた後は解除を急ぐかのような“スピード感”である。このスピード感がもっと早くから具体化していれば、宣言の延長は必要なかったのではないか?嫌味の一つも言いたくなる。そんな気持ちを抑えて冷静に眺めれば、3月の3連休明けから急拡大に転じた感染者の増加は、4月7日の緊急事態発令と接触機会の「8割削減」で抑え込まれたことは間違いない。結果をみれば政府ならびに専門家会議の面目は保たれた。ただその裏で、経済的には多大な犠牲を余儀なくされた。

25日に緊急事態が全面的に解除されれば、感染者の抑え込みに威力を発揮した接触機会は間違いなく増える。宣言が解除されてもコロナウイルスが全滅するわけではない。我々はこの先、ウイルスと共存していかなければならない。「新しい生活様式」だけでウイルスに対抗できるか、なんとなく心配になる。だが、最近明らかになりつつある心強い味方がもう一つある。東南アジアに住む人々には元々、コロナウイルスに対する抗体が備わっている可能性があるという仮説だ。まだ、仮説に過ぎないがBCG摂取説よりは有力なようだ。だからと言って安心できるわけではないが、日本人はマスク、手洗い、咳エチケットが慣習化している。これに「3密」回避、風通しうをよくするといった点に注意すれば、ウイルスとの共存は難しくないという気がする。