アメリカの大手格付け会社、S&Pグローバル・レーティングは、日本国債の信用度を示す格付けの今後の見通しを引き下げると発表しました。これは格下げではありませんが、新型コロナウイルスに対応する経済対策によって国債の発行が増え、財政の安定化が不透明になったと指摘しています。

発表によりますと、S&Pグローバル・レーティングは日本国債の格付けを上から5段階目にあたる「A+」としていますが、将来的な格付けの見通しを引き下げ、これまでの「ポジティブ」から「安定的」に変更しました。

格付け自体に変更はなく据え置いています。

理由について格付け会社は、政府が新型コロナウイルスに対応した経済対策で赤字国債の発行を増やすことから、財政の安定化に不透明感が強まっているためとしています。

そのうえで今後、経済成長率が低くなり、デフレが強まって財政状況がより悪化した場合は格下げする可能性があるとしています。

逆に、再び経済成長の軌道に乗り財政状況が予想を上回るペースで改善すると判断した場合には格上げする可能性もあると指摘しています。

西村経済再生相「財政気にする場面ではない」

S&Pグローバル・レーティングが、日本国債の格付けの将来的な見通しを引き下げたことについて、西村経済再生担当大臣は、9日の記者会見で、コメントは控えたいとしつつも、「今は財政のことを気にする場面ではない。無理やり経済を止めて感染拡大を防いできたので、その間に苦しい思いをした人たちをしっかりと支えていく。そのために第2次補正予算案でも国債を発行していて、事業、生活、雇用を守ることに全力を挙げていきたい。感染拡大防止策を講じながら経済活動を引き上げ、成長軌道にもう一度乗せていきたい」と述べました。