3月安値から21兆ドル(約2260兆円)相当の時価総額を取り戻した世界の株式市場では、高揚感に包まれる暇もなく早くもフロス(細かなバブル)が泡立ち始めているようだ。今の快進撃が弱気相場の中での一時的な反発にすぎず、いずれ失速するのかどうかが議論の的となっている。

  世界の株式相場は、中国外で新型コロナウイルスの感染が急速に広がり始めた2月の水準に回復した。新興市場国と先進国の株価指数であるMSCI・ACWI指数は、3月安値から42%戻した。来年の利益見通しに基づく同指数の株価収益率(PER)は現在20倍と、2002年以来の割高水準にある。

Global stocks have rallied more than 40% from a low in March
大きく反発

  BNPパリバ・アセット・マネジメントのアジア太平洋部門で、マルチアセット・クオンツ・ソリューションズとクライアントアドバイザリーを率いるポール・サンドゥ氏は、「この上昇局面は、政府が景気を背後で支えている構図の一部だ」と指摘。「短期的にボラティリティー上昇を招きかねない重要なリスクがある。だから当社は中・長期的にはリスクを増やす機会をうかがいながらも、ポートフォリオのダウンサイドではヘッジを続けている」と説明した。

  経済を守るための大量の財政投入が各国で行われ、ロックダウンが次々と解除される中、米雇用統計が予想に反して労働市場の改善を示した衝撃が加わり、株式市場に戻った買い手は割安なセクターを物色。相場上昇の勢いを加速させている。しかしながら一部の投資家はなお警戒を緩めず、目先のボラティリティー上昇に備えてヘッジを厚くしている。

Global stocks are trading at their highest valuation since 2002
割高感が台頭出所:ブルームバーグ

  JPモルガン・アセット・マネジメントのアジア太平洋担当チーフ市場ストラテジスト、許長泰氏は「急速な回復を投資家が織り込み続ければ、調整のリスクは高まる。特に感染第2波や米中の緊張激化に影響されやすいセクターはなおさらだ」と述べた。

原題:Froth in Stocks Starts to Bubble Over After $21 Trillion Rebound(抜粋)