[10日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は9─10日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを決定した。ただ異例の経済支援を継続すると改めて表明。国内総生産(GDP)は今年6.5%縮小するとしたほか、失業率は年末時点で9.3%になるとの見通しを示した。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●YCCは現時点では尚早、年内に導入 <TDセキュリティーズ(ニューヨーク)の世界金利戦略部門責任者、プリヤ・ミスラ氏> おおむね予想通りだった。具体的なフォワードガイダンスを発するのは時期尚早と考えていたが、実際、フォワードガイダンスに関する言及は特に何もなかった。
量的緩和(QE)については、ペースの変更は決定しなかった。これについては柔軟性はまだ極めて高い。
一部ではイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)への期待が出ていたが、今回は何もなかった。これも時期尚早だと考えている。YCCは新しい政策手段で、不確実性は極めて高い。ただ年内には導入に踏み切ると予想している。
●ゼロ金利3年程度継続、当面は支援維持 <トゥルーイスト/サントラスト・アドバイザリーサービシズ(アトランタ)の米国マクロストラテジスト、マイケル・スコーデレス氏> 金利見通しで、2022年まで金利を据え置く姿勢が示された。当局者の金利見通しを示す「ドットプロット」では、2人が22年の利上げを見込んでいる。ただそれでも、ゼロ金利政策は少なくとも3年程度は継続される計算になる。
前週5日に発表された5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比250万9000人増加した。
これを受け、最悪期は脱したため、追加的な財政支援策はもうないとの見方が台頭した。FRBの金融政策についても、それほど長くゼロ金利政策は必要ないとの見方も出た。
これは正しくない。経済はそれほど速いペースで完全に回復はしない。株式市場の観点からすれば、景気支援の「パンチボウル」が片付けられることはない。
●YCCの完全な意味合いを考察中か <ノースイースト・インベスターズ・トラスト(ボストン)の会長兼ポートフォリオマネジャー、ブルース・モンラッド氏> 金利などに関しては予想通りだった。イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)については選択肢として残しながらも、それ以上踏み込まなかった。おそらくその完全な意味合いを考察しているのだろう。通常、連邦準備理事会(FRB)の仕事は経済予測であり、その点で多くの仕事をこなしているが、YCCやフォワードガイダンスの一部は将来のことであり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)とも関係するので、自らに縛りをかけたいのかもしれない。
FRBは長期的な中立金利の見通しも据え置いた。低金利を維持しつつ、それが将来的には効果を発揮し、金利が中立水準に到達するというメッセージだろう。