ポンペオ米国務長官は18日、中国の外交担当トップである楊潔篪政治局員とハワイのヒッカム空軍基地で会談した。会談後ポンペオ国務長官は「中国側が米中貿易協議の第一段階合意の下で交わした約束を全て守る考えをあらためて示したことを明らかにした」とブルンバーグが伝えている。対立が深刻化している中で両国の外交トップは、関係改善で合意したようにみえる。これとは別にライトハイザーUSTR代表は17日、下院歳入委員会で行った議会証言で、「米中経済の分断は現実的な選択肢ではない」(ロイター)との認識を示した。「米中経済の分断」とはデカップリング論をさすが、これだけみると米中の関係改善が模索されているのかなと思う。

ところが、トランプ大統領は18日ツイッターに「ライトハイザー代表の間違いではない。私が明確にしなかったのだろうが、米国はさまざまな状況で、中国との完全なデカップリングという政策上の選択肢を当然維持している」(ロイター)と書き込んだ。まったく逆のことを言っている。トランプ氏の思いつき発言はいまにはじまったことではないから、とりたてて気にする必要もないだろう。とはいえ、いま世界中が固唾をのんで見守っている米中関係の1丁目1番地に関わる話だ。真意はどっちだと言いたくなるのも、むべなるかなだ。そこに登場するのがかのジョン・ボルトン前大統領補佐官だ。氏は18日ABCニュースのインタビューを受けた。

何を語るのか?世界中が注目した。暴露本の出版でもいまや時の人だ。そのボルトン氏「トランプ米大統領が考えているのは自身の政治的利益だけであり、『ホワイトハウスにふさわしくない』」とあからさまに大統領を批判したのである。ちょっと前まで思想信条を共にする同志だったはずが、いまは不倶戴天の敵である。どっちに分があるか愚問を問うのはやめよう。“習近平ファースト”で独裁的、強権的に拡大路線を推進する中国に対して、選挙目当てのデカップリング論を振りかざす大統領、それをさりげなく否定する側近。前補佐官は大統領としての「資質無し」と全否定する。米中の覇権争いどころか、政権内の権力闘争にもなっていない。米国は再生できるのだろうか?