【ワシントン時事】新型コロナウイルス危機で景気後退期に入った米国では、州の間で失業率の格差が広がっている。5月は経済活動の再開に前向きな与党共和党が知事を務める州で改善が目立ったが、秋の大統領選で注目される中西部「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)などの激戦区では高止まりしている。感染「第2波」の懸念も根強く、本格回復への道のりは険しい。

 労働省が19日に発表した5月の州別失業率によると、最も悪いのがラスベガスのある西部ネバダで25.3%、2位はハワイの22.6%だった。基幹産業である観光業の不振が主因とみられ、全米平均(13.3%)の倍近くに達した。

 2016年の大統領選でトランプ氏が僅差で奪取したラストベルトでは、回復の鈍さが鮮明だ。自動車産業が集積するミシガンは3位の21.2%。ペンシルベニアが13.1%、ウィスコンシンは12.0%と、いずれも前年同月比で3倍を超えた。

 経済再開を受け、今年4月に比べ改善も見られた。失業率が大きく低下した地域には、西部アリゾナや南部アラバマなど共和党州が目立つ。ただ、大票田の南部テキサスは0.5ポイント低下の13.0%と高止まり。トランプ氏が定住地に選んだ南部フロリダは逆に悪化し、0.7ポイント上昇の14.5%だった。

 一方、経済再開を急いだ州では感染再拡大が深刻だ。1日当たりの新規感染者数の調査によると、アリゾナテキサスフロリダは最近、過去最多を更新した。一部の州では行動制限の緩和にブレーキがかかっており、不況が長引く恐れもある。