[ニューヨーク 25日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、米国の複数州で新型コロナウイルス感染が急速に拡大していることを受けリスク選好度が低下し、安全資産としてのドルに買いが入った。米国と欧州連合(EU)との間の通商摩擦が高まっていることもリスク選好低下につながっている。 

米国では新規感染件数が24日に3万6000人を超え、過去最悪だった4月24日に迫った。こうした中、テキサス州は25日、感染拡大抑制策の段階的な緩和を停止すると発表。市場では経済の急速な回復に対する期待が後退している。 

ウェルズ・ファーゴ(ニューヨーク)のマクロストラテジスト、エリック・ネルソン氏は「米国の多くの州で感染が拡大していることは、市場にとって今後も問題となり続ける」と述べた。 

この日発表の経済指標では、6月20日終了週の新規失業保険申請件数が148万件と前週から減少したものの、高水準にとどまった。また、5月の耐久財受注統計は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比2.3%増とプラスに転じたものの、3月と4月の大幅なマイナスを相殺するには至らなかった。 

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数=USDは0.18%高の97.41。ユーロは対ドルでEUR0.32%安の1.1214ドル。ドルは対円JPY=で0.16%高の107.19円。 

米通商代表部(USTR)がEUによる航空機大手エアバス(AIR.PA)への補助金に対抗し、EUからの輸入品に課している報復関税について課税可能な品目リストを拡大したほか、税率の引き上げなどの変更を検討すると表明したこともリスク選好度の低下につながっている。 

欧州中央銀行(ECB)が公表した今月の理事会の議事要旨で、ECBの債券購入は景気支援の一助になり、恩恵は副作用を上回るとの見解が示され、政策担当者が独連邦憲法裁判所の判断に間接的に異論を唱えていていたことが判明。ユーロ圏ではイタリア国債などのリスク資産に売りが出て、ユーロ安につながった。 

ウェルズ・ファーゴのネルソン氏は「欧州の金融市場は若干神経質になっており、ユーロの重しとなる」と述べた。 

市場参加者は、この日の相場は方向感に欠き、需要は機関投資家の月末の調整に左右されたと指摘。マネーコープ・ノースアメリカのマネジングディレクター、トーマス・アンダーソン氏は「月末、四半期末、上半期末が重なり、企業や機関投資家による調整が短期的な市場の動意となっている」とした。 

ドル/円 
 NY終値 107.19/107.21 
   始値 107.27 
   高値 107.45 
   安値 107.12 

ユーロ/ドル 
 NY終値 1.1217/1.1219 
   始値 1.1206 
   高値 1.1231 
   安値 1.1191