東京都の新型コロナウイルス感染者が昨日107人に達した。これは5月2日以来61日ぶりのことだ。第1波が収束して非常事態宣言が取り消され、飲食店の営業自粛要請が撤廃された際に国や東京都は、「いずれ第2波、第3波がやってくる。それに備えて気を緩めず感染防止に努めてほしい」と国民や都民に要請していた。その要請の甲斐もなく第2波がやってきたということだろう。最近のメディアの報道を見ていると、非常事態宣言解除時の予測をすっかり忘れ、感染拡大の恐怖に恐れ慄いているかのような雰囲気だ。何もしないで第2波、第3波を拱手傍観すべしと思っているわけではないが、ここから先問われるのはウイルスとどうやって「共存」するかだろう。共存の条件をみんなで探るべきだと思うのだが・・・。

第1波の時はウイルス対策がほとんど整っていなかった。病床に余裕がなくなり、医療機器も不十分だった。医師や看護師の数が足りず、マスクや防護服など最低限の装備品も底をつく状況だった。PCRの運用体制も不十分で、いま考えルトよくこれで第1波の襲来を凌げたものだと思う。こんな状態であればこそ、特措法に基づく緊急事態宣言は意味があった。接触機会を8割削減するという途方もない対策が、ウイルスの拡散を抑え込んだのである。経済的な打撃は大きかったとはいえ、これがなければ医療体制は完全に崩壊し、ウイルスのコントロールは不可能になっていただろう。緊急事態宣言のもう一つの成果は、時間稼ぎができたことだ。万全とはいかないまでも不備な医療体制に応急措置を講じ、「新しい生活」に向けて国民の意識改革を推し進めた。その効果は大きかったと思う。

そこで迎えた第2波である。若い人や接待を伴う夜の街を中心に感染が広まっている。接触機会が増えれば若者や飲み屋街に人が集まるのは自然の成り行きだ。人が集まれば感染機会は増える。感染者が増えるのは当然の成り行きだ。問題は高齢者の感染比率、重傷者の発症状況、医療体制の逼迫感など第1波で学習したバックヤードの動向だろう。感染拡大を放置して良いとは思わないが、感染者の8割は無症状者といわれる。ウイルスと共存するためには中軽傷者を早期発見し、重症化を防ぎながら死者を限りなくゼロ抑えることだ。そのために何が必要か、専門家ともども日本中が総力をあげて考えるべきだろう。小池知事はきのうの会見で、「(現在の状況は)感染拡大要警戒」だと発言している。そうではなくて、「ウイルスと共存するために何をするか」、そこを語ってほしいのだ。