東京都のコロナ感染者は4日連続で200人を超えた。大方の予想を超えた第2波の感染拡大といっていいだろう。一方で東大の児玉教授などの研究では、日本の感染者数は現状の感染者の10倍以上に達するとの推計もある。昨日現在の感染者数は2万2000人弱となっている。推計が正しければ日本の感染者は20万人を超えている。これが多いのか少ないのか、総人口日でみれば0.2%弱という水準にすぎない。感染拡大が続くインド。先週末の感染者数は累計で82万人を越えたが、時事通信によるとバルダン保健・家族福祉相は9日、記者団に対し「局所的な流行にとどまっており、国内で市中感染は起きていない」と主張している。

その根拠は、「100万人当たりの感染者は、世界の平均が1453人なのに対し、インドでは538人にすぎない」ということのようだ。この論拠の是非はともかくとして、数字だけではなかなか真実は見えてこないということだろう。日本で広がりはじめた第2波も、メディアは連日数だけを問題にしている。感染者の症状の有無、PCR検査の数と比較した陽性率、病院の逼迫状況など多角的な情報提供が必要ではないか。それともう一つ、感染拡大の要因として「接待を伴う夜の街の飲食街」が強調され、あたかも飲食街が感染源のような報道がまかり通っている。度が過ぎれば逆に感染の実態が見えなくなることもある。医療関係者が密かに注目する空気感染の可能性など、感染者の裏に潜んでいる実態をもっとわかりやすく抉り出してほしいと思う。

半面、現実を明確に物語る数字もある。時事通信が11日に配信した記事によると、コロナの感染者は人種によって大きな格差があるという。米疾病対策センター(CDC)によると、米国内のコロナによる死者の割合は人種構成に比べ、黒人やヒスパニックなど人種的少数派が大幅に高いとする調査結果を公表した。65歳未満の死者は白人の18%に対して黒人は30%、ヒスパニックは34%だ。とりわけ「現役世代」で白人と非白人の差が顕著だそうで、「米国社会の人種間格差を改めて浮き彫りにした」とある。死亡率が極めて低い日本のファクターXに加えて、人種間に存在するファクターXも今後の解明対象だろう。新型コロナウイルスは、過去の延長線上では解き明かせない謎を人類に突きつけているような気がする。