政府はきのう(16日)、新設された「新型コロナウイルス感染症対策分科会」(尾身茂会長)の初会合を開き、東京を対象から除外して「Go Toキャンペーン」を予定通り今月22日からスタートすることを決めた。新型コロナの第2次感染が東京を中心に拡大する中で、東京を除外するという苦肉の決断となった。現状を考えれば致し方ないことだと思うが、Go Toキャンペーン以上に気になるのは感染防止の決め手がないことだ。「3密回避」「新しい生活様式の定着」など国民向けの自粛要請だけでは、未知なる脅威に対抗するパワーとしては明らかに力不足だ。この際、新型コロナの感染拡大防止に向けた“抑止力”を真剣に検討すべきだはないだろうか。

特措法に基づく緊急事態宣言を解除すれば、ヒト族の活動が目に見えて増えるのは当たり前のことだ。コロナウイルスの増殖を媒介するのはヒトである。蝙蝠や猫など動物も媒介役になるが、こちらは無視しても構わないほど微々たるものだ。ヒトがウイルスの媒介にならないためには、3密回避を徹底するしかない。国際的にみればマスクの着用も3蜜回避も、日本人は生真面目に取り組んでいる。日本人の国民性の優れたところだ。だが、国民の資質が優れているとしても例外はある。お酒を飲んで気が大きくなることもあれば、ライブハウスやスポーツ観戦で感激し、大声を張り上げたくなるのも自然の流れだ。どんなに注意していてもヒト族には、無意識のうちに3蜜に落ち込む危険性がつきまとう。

そうした事態を回避するために、ヒト族の意識に感染防止の観念を強烈に植え付ける。そのために必要なことは何か。例えば、「3蜜厳守法」を制定し、これに違反した場合には罰金を科す法整備を図るといったやり方だ。最悪の事態を想定して実刑罰を織り込むことも考えた方がいいかもしれない。自粛要請をベースにした特措法に比べれば、強権発動を背景とした抑止力である。権力の乱用を防ぐために期限を設けることも必要だろう。執行は全国の警察官が行なう。重点的なパトロールで3蜜に目を光らせる。検挙するような事例が起こるかどうかわからないが、肝心なのは「抑止力」として機能させることだ。そうすれば気の緩みや無意識の3蜜転落はある程度防げる。ウイルスと共存するためには、ある種強権の“構え”が必要になると思うのだが・・・。