吉村洋文大阪府知事と松井一郎大阪市長がきのう二人揃って記者会見を行い、新型コロナウイルス感染者でポビドンヨード入りうがい薬を使用した人は、唾液から検出されるウイルスが減ったと発表した。大阪はびきの医療センター(羽曳野市)がまとめたデータに基づいて、ヨード入りうがい薬によるうがいの励行を推奨したもの。これに対してネットでは賛否両論が飛び交ったほか、一部フリマではイソジンの出店が爆発的に増加するといった事態が発生した。うがい薬は医薬品であり、転売禁止のはずだがフリマではそんなことはお構いなしのようだ。こうした事態に専門家から効果そのものに疑問を挟む声も出ており、まるでうがい薬狂想曲の観を呈している。
人の命を預かる政治家として、コロナウイルスの感染が急ピッチで再拡大している折だけに、藁にもすがりたい気持ちはわからないわけではない。安倍首相は感染拡大の当初からアビガンの早期認証を口にしていたし、トランプ大統領に至っては一時、心臓への副作用が懸念されていた抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を常用、「これでコロナウイルスは撃退できる」主張した。同大統領に心酔しているブラジルのボルソナロ大統領もこの薬の愛飲者。安倍首相が「早ければ5月中に認可」と公言していたアビガンは一部の治験で有効性が確認できず、認可が出ないままいまだに治験が続いている。トランプ氏はクロロキンの服用はやめたものの、「ウイルスはコントロールできている」と相変わらず虚勢を張っている。
未知なる脅威のコロナウイルス。政治家にとっては反対派や筋金入りの野党よりも怖い存在だろう。一刻もはやくウイルスを退治したい、有効なものはなんでも使う。そんな思いに囚われたとしても不思議ではない。うがいの推奨に反対するつもりはないが、Yahooニュースには日本小児科学会専門医の堀向健太氏の見解が載っている。それによると「水のみでうがいをすると、うがいをしないグループよりも風邪にかかる確率が下がったものの、ポビドンヨードでうがいをするグループは効果が認められなかった」そうだ。ヨード入りうがい薬の効用を確認したのも専門家、専門家の間でも意見が分かれている。それだけに政治家としは判断が難しくなるが、政治の王道はウイルスと直接対峙すること。「検査して隔離する」、ウイルスの拡大を止める対策はこれしかない気がするのだが・・・。
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